過保護になってしまう親の特徴は?
親の状況や性格によっては、子どもに対して「過保護になりやすい」ことがあります。
もちろん、過保護になりやすいという傾向だけでは、子どもに影響があると断定はできません。
しかし、どんなケースで過保護になりやすいのかは気になるところです。主なパターンを見ていきましょう。
1人で抱え込みやすい
子どものことすべてを親1人で考えてしまっている場合、周りの意見を聞く余裕がなくなることがあります。
日頃から周囲に相談できているなら、自分が過保護になっているかどうか気づくことができますが、何もかもを1人で抱え込むタイプでは、子育てに関して盲目的になってしまうこともあるでしょう。
「自分1人で子どもを正しく育てなければならない」と感じていると、自分の意思が強く出てしまいます。
また、すべてのことに対して先回りし、お膳立てをしてしまっては、子どもの自主性が育ちません。
そんなときは少し息抜きをして、子育てを周囲の人と協力して行うだけでも、周りを見る余裕が生まれるでしょう。
子どもの実力を信じ切れない
自分の子どもがどこまでできるのか、信じられないままだと過保護になりやすくなってしまいます。
赤ちゃんのころの何もできなかったイメージが先行すると、「自分の子にはまだ難しい作業なのではないか」と、親が先んじた行動を取ってしまうでしょう。
洋服の着脱や片づけなど、繰り返し子ども自身が行うことでできるようになるケースもあります。
「時間がかかるから」と、つい手を出してしまいたくなりますが「子どもに任せられることは任せる」と割り切ることも、ひとつの重要な視点といえるでしょう。
自由にさせたい放任主義も
「放任主義」は、子どもの自主性を重視する考え方です。しかし、完全に子ども任せにし過ぎると別の問題も出てきます。
例えば、「宿題をしなければならないのにゲームばかりしている」「友だちに悪いことをしてしまったのに謝らない」など、子どもが不適切な行動を取るケースもあるでしょう。
そんなとき「自由に育ってほしいから」と親がしつけをしないとなると周囲からは「子どもを甘やかしている」と捉えられることもあります。
このような過度な放任主義も、過保護になりやすい親の特徴といえるでしょう。
そもそも過保護とは?
「過保護」とはどんな状態を指すのか、気になる人も多いでしょう。「この行動をすると過保護」というような定義はあるのでしょうか。
どんな解釈があるのか、具体的に知っておきましょう。
過保護の意味、解釈は人それぞれ
「過保護」は、過度に子どもを甘やかし守ることを指しますが、はっきりとした定義が決まっているわけではありません。
同じように育てていても、子どもの成長や性格によって適切な対応は変化します。どのあたりから「過度な対応」となるかは、人によっても解釈が変わるでしょう。
また、子どもが嫌がるしつけや指導をまったくしないのも過保護といわれます。社会常識や自分1人で生活していく上で必要なことを教えるのも親の役目なのです。
過保護=悪い ではない
子どもを守ろうとする親の気持ちは、決して悪いものではありません。子どもに愛情を注ぐことは大切なことです。
周囲に迷惑をかけるほどの問題があるなど状況にもよりますが、多少子どもを甘やかしているからといって、常にトラブルが発生するわけではありません。
しかし、子どもが「親に全部やってもらって当然」と考えてしまうなら、少し距離感を考える必要があります。
子どもが甘えたいときや寂しそうなときはしっかりと愛情を注ぎ、ある程度のことは突き放すなど、場面に応じて必要な対応をしていけるように見守る視点も大切です。
過保護より過干渉がよくない?
「過保護」と似たような言葉に「過干渉」があります。過干渉になり過ぎると子どもに影響があるといわれますが、何が問題なのでしょうか。
「過保護」との意味の違いや、子どもに現れやすい特徴も見ていきましょう。
「過保護」と「過干渉」の違い
「過干渉」は、子どもの行動・言動を親が管理しようとする状態です。
子どもが嫌がっていても親の意見を押し付け「自分の思い通りに育ってほしい」という気持ちが強いのです。
子どもが自立しようとしていても「あれはいけない」「これもいけない」と選択肢を狭め、子どもの意思を無視した状態を指します。
明らかに悪いことや間違ったことの場合は指導も必要ですが、子どもの考えを完全に否定するのもよくないことといえるでしょう。
過干渉で育った子どもの特徴
親の意見と子どもの希望が食い違っていると、「過干渉」は子どもに悪い影響を与える場合があります。
子どもは「自分の意見がすべて否定され、親の希望通りにしか動けない」と判断すると、ストレスがたまってしまうのです。
また、子どもは自分の意見が通らない場合、諦めてやる気がなくなってしまったり、嫌がって反発ししたりして、反抗することもあるでしょう。
仮に、子ども側が特に問題と感じていなくても、親のいうことに従うだけでは自主性が生まれません。中には、自分の意見が分からなくなる子どももいるでしょう。
子どもと適度な距離感を保つために
子どもとちょうどよい距離感を保つことができると、お互いに心地よい関係でいられます。
子どもに対して「過保護になり過ぎているかもしれない」と感じるときは、少し距離を置くための行動を実践してみましょう。
子どもの失敗を受け入れよう
生きていく上で、失敗はつきものです。子どものうちは親が助けてあげられますが、独り立ちすると自分で何とかしなければなりません。
過保護になり過ぎるのを避けるには、「子どもが失敗することを心配し過ぎず、見守る」のもひとつの方法です。
危険な作業や失敗できない大切なイベントではなく、失敗しても問題ないときはすぐに口を出さずに待ってみましょう。
そうすれば何度か失敗しても、成功するまで続ける粘り強さを身に付けられます。どうすれば成功するのか、子ども自身が学ぶチャンスにもなるでしょう。
自分の気持ちと向き合ってみよう
子どもとの距離を考えるときに大切なのは、親である「自分の気持ち」です。
怒りっぽくなったり不安定になったりするのは、子どもとの距離感が合っていない可能性があります。
見ていてイライラしてしまうときこそ、少し距離をとって見守るようにしてみましょう。少し離れて心にゆとりを持たせるだけで、子どもの何気ない言葉に慌てる必要がなくなります。
親子の関係を良好に保つためにも、近づき過ぎず、遠過ぎずの距離を心がけましょう。
子育て四訓を実践してみよう
子育て四訓は、時期によってどの程度の距離を保つのがよいかを示したアドバイスです。参考にすると、子離れの時期も判断しやすくなるでしょう。
例えば、「乳児はしっかり肌を離すな」といわれるとおり、赤ちゃんのころは抱きしめて側にいることが大切です。
幼児期には「幼児は肌を離せ、手を離すな」といわれます。ずっと抱っこをしてかわいがるのではなく、子どもが自分で歩き出すのを隣で見守る時期です。
子どもが少し大きくなると、アドバイスの内容は「少年は手を離せ、目を離すな」に変わります。
自立し始めた子どもは、親から少し離れたがるでしょう。しかし、トラブルやSOSを見逃さないよう、目を離さずにいる必要があります。
大人になると、完全な自立の時期です。「青年は目を離せ、心を離すな」のアドバイス通り、子どもの行動は気にせず、心だけがつながっていればよいという気持ちを持ちましょう。
まとめ
子どもと接するとき、口をはさんだり手を出し過ぎたりすると過保護になる一方で、放置し過ぎてもまた別の問題が出てきます。
一筋縄ではいかない子育てでは、距離感が分からずに悩むことも多いでしょう。
適切な距離感はすべての人が同じではなく、お互いの気持ちによっても変わります。ほかの家庭と違うからといって、必ずしも過保護や過干渉とはいえません。
自分の子どもと触れ合いながら、自分たちに合う距離感を見つけていきましょう。