御七夜って何をする行事?御七夜の基本知識とお祝いに必要なもの

第6回 知っておきたいママ情報
十月十日(とつきとおか)の妊娠期間からの出産を終えて、約5日後にようやく家族で過ごせるようになります。そこから始まる生活は常に忙しく、成人になる日まで様々な行事を迎えるようになります。初めての行事となる御七夜について紹介します。

御七夜とはそもそも何?

「御七夜(おしちや)」は七五三などの成長を祈って行う行事のひとつですが、子どもが生まれてから耳にする人が多いかもしれません。

親になってから初めて行う大仕事はどんなことをするのか、確認していきましょう。

赤ちゃんが生まれたことを祝う行事

「御七夜」は、赤ちゃんがこの世へ無事に生まれてきたことを祝う行事です。

元々平安時代の貴族の間では「産立ちの祝い」という行事が、出産当日や生まれて3日目の奇数日ごとの夜に行われていました。

その一連で、7日目の夜にお祝いをする風習が、江戸時代に入ってから一般的に広まったそうです。

また、現代ほどの医療技術は当然昔にはなく、生まれたてで繊細な赤ちゃんは1週間経たずして亡くなってしまうケースもあり、生まれてから無事に1週間という節目を迎えられたことを祝う意味でも行われていました。

御七夜までの数え方

「御七夜」という字を読めばかるように、生まれて7日が経った夜に行いますが、出産当日を含むかのか否かわからず悩むママも多いようです。

とある説では出産当日を0日としてそこから7日後、というカウントの仕方がありますが、一方では誕生日を1日目として数える説もあります。これに関しては地域差や風習の違いもあるので、どちらも正解といえます。

もし自分たちで決めきれない場合は、お互いの両親や親戚に確認してアドバイスをもらってもよいでしょう。

現代では自宅ではなく産院などでお産をします。一般的には産後5〜7日で退院するケースが多いです。

しかし、場合によっては日数がかかることもありますし、産後直後は無理して動くべきではないため、体調を優先して行うとよいでしょう。

御七夜はどう進めていくもの?

行事にはなにかと準備や進行の確認が必要となってきます。

七五三など世間一般的な行事で、かつ自分自身でなんとなく覚えているものと違って、御七夜は何をしたか覚えていないはずです。

どのような内容の行事なのか見ていきましょう。

御七夜の基本的な流れ

御七夜を行う場所は、かつては子の父方の実家で行うのが一般的でした。現代では風習が色濃く残っている地域でなければ自宅で行い、子の祖父母や親戚を招くことが多いです。

自宅なのでカジュアルな服装でも構いませんが、せっかくのお祝いなので赤ちゃんはセレモニードレスなどを着せてあげるとよいでしょう。

祖父母や親戚を招待した場合はまず感謝の意を込めてあいさつを行います。そして次に主役である赤ちゃんのお披露目と、この後に触れる「命名式」を行い名前とその由来を発表します。

その後は記念写真を撮影したり、お祝い膳を参加者全員で楽しんだり、赤ちゃんの機嫌がよければ記念の手形・足形を取ったりしてもよいでしょう。

宴の最後には、改めて感謝の気持ちを込めて参加者へあいさつをします。

赤ちゃんの手形や足形を取る

赤ちゃんは日ごと成長し、あっという間に大きくなります。生まれたての尊い小ささを残すのに、手形や足形を取っておくのはよい記念となるでしょう。

まず大前提として、赤ちゃんの機嫌がよいときか、眠っているときに行うようにします。

残す紙は画用紙などのやや厚みのあるものがおすすめです。

手足が汚れないインクや、インク自体が透明なのに特殊な紙に押すと形が付くもの、手形・足形専用の粘土など今は便利なグッズが売られています。

産院で取ってくれるところも多いですが、初めての家族での共同作業として行えば、御七夜をより盛り上げられることでしょう。

記念撮影をする

生まれたての記憶を残すのに、記念写真を撮るのもおすすめです。

赤ちゃん単体で撮っておくのはもちろんのこと、初めて家族になった記念として家族全員で撮影しましょう。

せっかくの記念撮影は、赤ちゃんの機嫌が悪くない限りは食事が始まる前に撮るのがベストです。

食事後になると赤ちゃんのお世話でバタつくことが考えられるため、早めに済ませておきましょう。

赤ちゃんを中心に、家族全員で並んだ写真は一生ものになるでしょう。

大切な行事のひとつ「命名式」もチェック

生まれてきた子どもへ感謝と愛情を込めて贈る名前は、御七夜の中で一緒にお披露目することが多いものです。

記念に残るシーンでもあり、記憶としてしっかり残しておきたい儀式は、どのように行えばよいのでしょうか。

命名式と命名書

命名式とは御七夜の中で行う「名付け」の儀式で、家族に囲まれて名前を付けられることにより、生まれてきた赤ちゃんが社会の一員になれるというものです。

その昔は家族や親戚だけでなく、近所の人や地域のご長寿者まで招いて宴を開き、この健康を願って名前の書かれた紙をその土地の神様の元へ奉納したそうです。

現代では簡略化し家族のみで行うことがほとんどで、名前の書いた紙は神棚や仏壇へ、そういったものがなければ赤ちゃんの枕元に飾ります。

命名書には奉書紙を3つ折りにして書く「正式」と、半紙を使う「略式」があります。

正式な命名書の書き方

正式な命名書は、まず奉書紙を折るところから始めます。

縦に置いた紙を半分に折り、折り目(わ)を下側にします。その状態で今度は紙の両端を、右側が上になるように3分の1ずつ折ります。

折り目が付いたら、右のスペースに「命名」と記します。

紙の中央スペースには、まず父親の名前と子どもの続柄(何番目の子で男か女か)を右上に入れ、左には子の生年月日を書き、真ん中に大きく子の名前を書き入れます。このとき名字は不要です。

3つ折りの左スペースには、命名した日付と両親の名前をフルネームで書きます。名付けが両親でない場合、左スペースは名前を付けてくれた人の名前を書き入れます。

現在は略式の書き方でもOK

現代では額に入れ飾りやすいという利点から、略式での命名書を選ぶことが多い傾向です。

専用の紙には様々なデザインがあるので、赤ちゃんの雰囲気や親の好みに合わせて選びましょう。

略式の場合は、紙の右側に両親のフルネームと子どもの続柄を入れます。

そして中央に「命名」と書き、その下に名字は省いて子の名前のみを大きく書き入れます。最後に生年月日を左側のスペースに書けば、略式の命名書が完成します。

形式にとらわれず、生まれた時刻や身長・体重を書き加えてもよいでしょう。正式な命名書には遊びがなく、飾る場所と置いておく期間が決まっています。

略式はカラフルなデザインを選んで好きな所に飾り、見たいときにいつでも見ることができます。

準備すべき料理や服装について

御七夜を進めていく上で欠かせないのが、招待者をもてなすための料理です。またお祝い事なので、服装はフォーマルなものがよいか悩むところです。

料理の内容や着るものについても確認していきましょう

豪華なお祝い膳の内容

御七夜はお祝いなので、「祝い膳」というものを出します。

祝い膳は、縁起のよい「赤飯」と「尾頭付きの鯛」を基本として準備します。この2品に加えてお刺身や天ぷら、蛤のお吸い物や紅白なます、煮物など一汁三菜といわれるお祝いの会席料理を仕上げます。

しかし、産後7日目の母体にとってこの内容を作り上げることは大変です。

パートナーや実家または義実家の母親に頼むか、今は便利なお祝い膳の仕出し弁当サービスもあるので、利用するのもひとつの手です。

服装のマナーは特になし

近年では自宅で御七夜を行うため基本的に服装は自由です。気軽なカジュアルスタイル、写真写りを考えてややフォーマルにするなど、好きなスタイルを選びましょう。

産後間もないママは身体の状態に合わせて、あまり締め付けがない動きやすいものや、授乳しやすい服装がおすすめです。

パパはジャケットを着るなどきれいめスタイルもよいものの、赤ちゃんのお世話をすることを考えれば動きやすい服装がベストです。

ママやパパと同じく、赤ちゃんの服装にも決まりはありません。

しかし、なんといっても主役なので、セレモニードレスやよそ行きの服などを着せてあげると記念になることでしょう。

まとめ

まだ赤ちゃんがいない家庭だと聞き慣れない「御七夜」という行事は、本来ならば産後間もない時期に行うものです。

しかし、今はお産のタイミングによって必ずしも7日目に赤ちゃんやママが家にいるわけではないので、各家庭の状況に合わせて行うとよいでしょう。

豪華なことはせずとも、家族で我が子の誕生を記念するよい機会となります。