赤ちゃんが夜寝ない原因は?
出産後、初めて経験する子育ての大変さのひとつが「赤ちゃんが寝てくれないこと」です。
夜泣きが続いたり、ずっと起きていたりすると、心身ともに疲れ果ててしまうでしょう。赤ちゃんが眠れない原因はどこにあるのでしょうか?
空腹、おむつなど赤ちゃん側の原因
赤ちゃんが眠れない原因は「赤ちゃん側の原因」と「外的原因」に分けられます。赤ちゃんは言葉が話せないため、ママとパパが気持ちを察してあげるほかはありません。
赤ちゃんの側の原因でよくあるのが「空腹」です。就寝前、赤ちゃんに十分なミルクや母乳を与えているでしょうか?
適切な「量」と「回数」は赤ちゃんごとに異なりますが、母乳中心のときは「赤ちゃんが欲しがるだけ与える」のが基本です。空腹が満たされると赤ちゃんは満足して眠りにつくでしょう。
また、赤ちゃんの夜泣きは「おむつが濡れて気持ち悪い」のサインでもあります。おしっこがたまりすぎていたり、おむつがズレていたりすると不快感を覚えてしまうようです。
刺激や部屋の明るさなど外的原因
赤ちゃんは大人が思っているよりもデリケートです。部屋の温度・明るさ・湿度が赤ちゃんにとって最適であるかを見直してみましょう。
特に、月齢の低い赤ちゃんは体温調節機能が未発達で、暑さや寒さに脆弱です。夜なかなか寝てくれないときは「背中に汗をかいていないか」や「体が冷えていないか」を確かめてみましょう。
また、赤ちゃんは物音や光に過敏に反応します。電気をつけていなくても、空気清浄機やスマホの充電のランプが赤ちゃんの目に入り、眠れなくなっているケースも考えられます。
光るものは布で覆い、できるだけ暗くて静かな環境をつくるのが理想です。
月齢別の理由もチェックしよう
生まれたばかりの新生児は昼夜の区別が付きませんが、月齢が上がるにつれ、夜になっても「脳が興奮して眠れない」といった問題も出てきます。
月齢別の眠れない理由を知っておくと、それに合わせた対策が立てられるでしょう。
新生児から1カ月の赤ちゃん
新生児(生後28日未満)や生後1カ月の赤ちゃんは、寝る時間が決まっていません。昼夜の区別がなく、睡眠と覚醒を繰り返します。
「夜にまとめて寝てほしい」のがママの本音ですが、月齢が低いうちは仕方がありません。授乳やミルクが終わると眠り、数時間ごとに目を覚まします。
「睡眠→ミルク(授乳)→排尿→排便→睡眠」を繰り返すため、この間は赤ちゃんが不快な思いをしていないかをこまめにチェックしてあげましょう。
2カ月から5カ月の赤ちゃん
徐々に昼夜の区別が付き始めるのが生後2~5カ月ごろです。1回で飲む母乳・ミルクが増えるため、夜中の授乳回数も減り始めます。
生後2カ月ごろから外遊びができるようになりますが、日中に外の刺激をたくさん受けると、脳が興奮して眠れなくなる場合があります。
この時期は視覚がどんどん発達するため、脳への刺激がより強烈になるといわれています。疲れてお昼寝の時間が長引けば、夜の睡眠にも影響してくるでしょう。
また、「一点を注視するとなかなか目が離せなくなる現象」が起こりやすく、部屋の豆電球をじっと見つめて寝てくれないこともあります。
ずっと寝グズリして泣いてる赤ちゃん(生後2か月)| 教えて!goo
6カ月以降の赤ちゃん
6カ月以降になると、6~8時間ほどまとめて眠れるようになってきます。体内時計が発達し「昼は起きて夜は眠る」という生活リズムが徐々に身に付いてくるのです。
ただ、ハイハイや伝い歩きを始めるようになると行動範囲が広がり、脳はより多くの刺激を受けるようになります。
興奮したり、夢を見たりして夜中に何度も目を覚ますケースもあるでしょう。
乳歯が生え始めるのもこのころで、むずがゆさや違和感でなかなか眠れない子どもいるようです。
6カ月以降になると、6~8時間ほどまとめて眠れるようになってきます
未就学児の睡眠指針|厚生労働科学研究費補助金 未就学児の睡眠・情報通信機器使用研究班
ぐっすり寝てもらうためのコツは?
赤ちゃんの睡眠はまだまだ発達途上です。夜にぐっすり寝てもらうためには、昼と夜のメリハリを付けさせる必要があります。
「どうして寝てくれないの?」というイライラが赤ちゃんに伝わらないように、自分の気持ちを整えることも大切です。
生活習慣を改善する
月齢が上がるにつれ、少しずつ昼と夜の区別が付き始めます。生活のリズムを身に付けさせるためにも「生活習慣の見直し」を行いましょう。
例えば、日中に行っていた沐浴の時間を「夕方~夜寝る2時間前」に変えてみるのもひとつの方法です。深部体温がゆっくり下降し、沐浴の1~2時間後には眠くなるはずです。
深夜に目が覚めるときは、夕寝の時間を削ってしまいましょう。
年齢にもよりますが、昼寝は2~3時間ほどにし、5時前には必ず起こすようにします。成長に伴い、朝寝の時間も徐々に短くしていきましょう。
寝かしつけの際にイライラしない
赤ちゃんがなかなか寝てくれないとついイライラしてしまいますが、ママのイライラやストレスは赤ちゃんにも伝わります。
寝かしつけのときは、できるだけリラックスし、優しい気持ちで接するようにしましょう。
仕事や家事で疲れ、気が張っているというときは「ハーブティー」「目の温湿布」「スイーツ」などで一息つくことも大切です。
子どもが生まれたときの写真を見て感謝の気持ちを思い出すというママもいます。大変なときは自分だけで頑張ろうとせずに、パパにヘルプを頼むことも考えましょう。
赤ちゃんが眠りやすい環境をつくろう
赤ちゃんの体内リズムが整うのには時間がかかりますが「睡眠に適した環境づくり」は今日からでもすぐに行えます。
スマホのライトやテレビなどで、赤ちゃんの睡眠を阻害していなかったかも振り返ってみましょう。
部屋の温度や湿度を整えよう
赤ちゃんが快適と感じる部屋の温度は、夏は26~28度、冬は20度前後です。真夏や厳冬期はエアコンを活用し、できるだけ一定の温度が保てるようにします。
冷風や温風が赤ちゃんに直接当たらないよう、ベッドの位置にも配慮しましょう。夏は肌着1枚でOKですが、お腹にバスタオルをかけてあげると安心です。
冬は長袖の肌着にパジャマを重ねるのが基本です。「スリーパー」を着せてあげると、布団からはみ出しても体が冷えにくいでしょう。
部屋の湿度は60%程度に保つのが理想といわれています。冬は湿度が40%以下になるとウイルスが増殖しやすくなるため、加湿器や濡れたタオルを使って加湿しましょう。
午前中に遊んで体を動かそう
子どもは遊び疲れるとよく眠ってくれます。2カ月を過ぎたころから外出が可能になるので、近くを散歩したり、おもちゃで遊んだりしてできるだけ体を動かすようにしましょう。
また、人間は太陽の光を浴びると「セロトニン」が生成され、体内時計が整いはじめます。月齢が上がってきたら毎日決まった時間にカーテンを開け、朝日を浴びさせるのもよいでしょう。
太陽の下でたくさん遊ぶと、夜はスイッチが切れたように眠ってくれる可能性があります。
一般財団法人 脳神経疾患研究所 総合南東北病院【地域がん診療連携拠点病院・地域医療支援病院】
部屋は朝は明るく、夜は暗くしよう
「朝は明るく・夜は暗い」という環境をつくると、次第に体内時計が同調し、まとまった睡眠が取れるようになります。
夕方から寝る直前までは蛍光灯以外の間接照明で過ごし、就寝時はすべての照明を消すのが理想です。
小さな豆電球を付けるママもいますが、生後4カ月ごろの赤ちゃんは注視したものから目を離せなくなる傾向があります。
部屋は真っ暗にし、お世話が必要なときだけ足元を照らしましょう。
テレビ・パソコン・スマホからは、眠りを妨げる「ブルーライト」が発生しているため、必ずスイッチを切っておくことも必要です。
まとめ
赤ちゃんが寝てくれない原因は、おむつや空腹などの「赤ちゃん側の問題」もありますが、睡眠に適した環境が整っていないケースも多いものです。
赤ちゃんのために灯していた小さな豆電球が眠りを妨げていたり、空気清浄機のランプが影響を与えていたりするため、一度部屋の中をチェックしてみましょう。
「朝は活動し、夜は眠る」というリズムを身に付けて、スムーズな寝かしつけを目指しましょう。