そもそも早生まれとは?遅生まれとの違いとメリットデメリットを紹介

第10回 知っておきたいママ情報
子どもが幼稚園に上がるころになると「早生まれ」や「遅生まれ」といった言葉をちらほらと耳にするようになります。早生まれとはいつ生まれた子どもを指すのでしょうか?早生まれのメリットとデメリットも解説します。

早生まれとは?分かりやすく紹介

同じ学年で1~3月生まれの同級生がなぜ「早生まれ」と呼ばれるのでしょうか?

早生まれという呼び方は「数え年の考え方」や「日本の法律」が関係しています。早生まれ・遅生まれの意味や由来について理解を深めましょう。

1月1日から4月1日の間に生まれた子

「早生まれ」とは、1月1日~4月1日の間に生まれた子を指します。「誕生日が来るのは遅いのに、なんで早生まれと呼ぶの?」とすっきりしない人も多いでしょう。

教育基本法という法律では、小学校に就学できる年齢が「満6歳に達した翌日以後の最初の4月1日」と定められています。

このルールに基づき、学年は「4月2日~翌4月1日生まれ」の子どもで構成されるため、1月1日~4月1日の子どもは1つ上の学年に入ります。

早生まれは、生まれてから入園・入学するまでの期間が、ほかの子よりも「早く」「短く」なるのが特徴です。

出典:4. 4月1日生まれの児童生徒の学年について:文部科学省

数え年の考え方が由来になっている

1月1日~4月1日を早生まれと呼ぶのは「数え年」に起因しているといわれます。

これは、「生まれた年を1歳」とし、元旦(1月1日)を迎えるごとに1歳ずつ年を重ねる数え方です。

4月2日~12月31日に生まれた子どもは数え年の「8歳」で小学校に入学しますが、1月1日~4月1日の子どもは数え年の「7歳」で入学します。

4月2日~12月31日生まれよりも、1年早い学年になることから「早生まれ」という呼び名が付きました。

また、数え年の7歳で小学校に入学することを「7つあがり」や「はやあがり」と呼んでいた時代もあったようです。

反対に遅生まれもある

早生まれに対し、4月2日~12月31日に生まれた子は「遅生まれ」です。

決して遅く生まれたわけではありませんが、同じ年の早生まれの子どもに対し、1年遅く就学するために「遅い」という言葉が使われています。

幼少期は生まれが11カ月違えば、体格もできることも大きく違ってきます。

幼稚園や小学校では「早生まれよりも遅生まれの方がトクかも…」と感じてしまう人もいるかもしれません。

同じ月の1日違いで学年が変わる理由は?

小学校や中学校では、4月1日と4月2日に生まれた子は学年が違います。1日生まれの差が「先輩」と「後輩」になってしまうのは不思議でしょう。

日本の学校教育法や満年齢の数え方を知ると、その理由が分かります。

学校教育法による違い

学年の違いは「学校教育法」における「学齢の決め方」と関係があります。日本の学校は「4月1日に始まり翌年の3月31日に終わる」のはご存じでしょう。

学校教育法17条によると、保護者は子どもが「満6歳に達した翌日以後」の最初の学年から小学校に就学させる義務があると記されています。

4月1日生まれの子が満6歳を迎えるのは3月31日(午前0時)です。「満6歳となった翌日以降」という学校教育法の就学条件に当てはまるため、1つ上の学年に入ることになるのです。

4月1日生まれの子どもは「学年で1番誕生日が遅い」ともいえるでしょう。

一方、「4月2日生まれ」は4月1日の午前0時に満6歳を迎えるため「学年で1番誕生日が早い子」になります。

小・中学校等への就学について:文部科学省

学校教育法施行規則

満年齢の数え方について

学校教育法には小学校に入学できるのは「満6歳」とありますが、人はいつ・どのタイミングで「満〇歳」を迎えるのでしょうか?

満年齢とは「生まれたときを0歳」とし、翌年の誕生日に1歳となる数え方です。普通の感覚なら「4月1日に生まれた子どもは翌年の4月1日に満6歳になる」と考えるでしょう。

しかし、法律上の満年齢は「誕生日の前日」でカウントするのがルールです。(年齢計算ニ関スル法律)

4月1日生まれの子どもは、3月31日の終了時(午前0時)をもって満6歳になり、翌日の4月1日から小学校に入学することになります。

明治三十五年法律第五十号(年齢計算ニ関スル法律)

早生まれに考えられるメリット

「誕生日に損も得もない!」と思いたいところですが、早生まれには早生まれのメリットがあります。

小さな子どもを持つママは「早生まれは損かも…」と思っていませんか?実は、年上の子の間で刺激をたくさん受け、成長が後押しされる可能性も高いのです。

同学年の子より若くいられる

同学年のなかで早生まれは「年下」です。誕生日が1番早い4月2日と誕生日が1番遅い4月1日の人では、年が364日(うるう年は365日)離れています。

遅く生まれた分、体力的・外見的にみんなよりも若くいられるのがメリットでしょう。

社会人になって年を重ねるにつれ「みんなは三十路だけど、私はまだ29…」と小さな優越感を覚えるかもしれません。

合コンや婚活パーティーで「今、何歳?」と聞かれた際、同学年の友人よりも1歳若く年が言えるのも有利な点です。

幼いころから刺激を受けられる

幼少期は、遅生まれが体力的・知力的に優位になるケースが多いです。

早生まれの子は、自分より半年以上早く生まれた子たちと一緒に勉強や運動をしなければならないため、小さいうちからたくさんの刺激を受けます。

個人差もありますが、幼稚園や小学校のかけっこやスポーツでは、体の大きい遅生まれの子が有利になります。

「負けるもんか!」という気持ちが湧き、人一倍練習を頑張る子も出てくるでしょう。

早生まれの子は心身ともに大きく成長しやすい環境に身を置いているのです。

長い目で見れば生涯賃金の違いも

定年退職日をその人の「誕生日」に合わせている会社では、早生まれの方が遅生まれよりも半年から1年近く長く働け、給与の総受給額が多くなります。

勤続年数を元に退職金を計算している会社の場合、早生まれの方が退職金が多くなるケースもあるでしょう。

一方、国家公務員の定年は原則60歳で、60歳に達した日以後の最初の3月31日が定年退職日です。

この場合、同級生で入った人はすべて同日に退職となるため、早生まれにとってのメリットはありません。

早生まれに考えられるデメリット

早生まれは「早生まれの子どもを持った親」がデメリットだと感じるケースが多いようです。

手当などの給付額に差が出たり、保育園の申し込みができなかったりと、子育て世帯にとってはつらい現実もあります。

体力・学力面で差が出やすい

半年~1年近く年齢が違うと「体力」や「学力」で差が出やすくなります。

同年代の子と比べて言葉を覚えるのが遅かったり、発育が遅かったりして「うちの子はついていけるのかしら…」と不安になるママは少なくありません。

幼稚園に入ると日常的にハサミや箸を使うことが多くなりますが、早生まれと遅生まれでは「手先の器用さ」にも差が出るようです。

ただ、保育園・幼稚園では大きな差を感じても、小学校・中学校と年を重ねるにつれて差は気にならなくなってくるでしょう。

保育園に入りづらいことも

早生まれは、0歳児を対象とした「保育園」への入園が不利になることがあります。認可保育園の場合、入園できるのは「すでに生まれている子ども」が対象です。

4月入所の募集が前年の年末までに行われた場合、すでに生まれている遅生まれの子は申し込みができますが、早生まれの子は申し込みの対象から外れてしまいます。

翌年4月の1歳児クラスに入るとして、それまで面倒を見てくれる預け先を探さなければならないのは大変でしょう。

また、0歳児クラスがそのまま持ち上がる保育園の場合、1歳児クラスの新規募集はごくわずかです。

手当をもらえる期間が短い

早生まれは公的な手当の受給期間が短いのがデメリットです。

日本には、子どもを養育している親に一定の金額を支給する「児童手当」という制度があり、支給期間は「0歳~15歳の誕生日後の最初の3月31日まで」と決まっています。

早生まれの場合、誕生日を迎えるとまもなく3月31日になってしまうため、遅生まれよりも支給額が少なくなってしまうのです。

同じ理由から、自治体が医療費の一部または全額を負担する「医療費助成制度」なども、早生まれが損をすることがほとんどです。

児童手当制度のご案内: 子ども・子育て本部 - 内閣府

子ども医療費助成制度

まとめ

早生まれの子どもを持つと「保育園に入りにくい」「児童手当が少ない」など、家計に直結する問題が出てきます。

学校生活では、ほかの子たちとの様々な差が生じ、親としては「ちゃんとやっていけるかな…」と心配になるでしょう。

ただ、早生まれの本人から見れば「同級生よりも若い」「生涯賃金が多い」といったメリットがあります。

「早生まれが損か得か」の議論がありますが、実際のところどちらともいえないでしょう。