●夫の年収や子どもの能力で決まるママカースト
ママ同士の格付けは、どのように行われるのでしょうか? 実際にママカーストに巻き込まれた体験者の声をまとめてみました。
「幼稚園児の娘と同じクラスのお母さんと仲良くなったのですが、彼女はお付き合いするママを選びたがるタイプの人でした。夫がどんな仕事をしているのか、どんなブランドが好きかを会話のなかで探りながら、もし、彼女のなかの基準を満たしていないと判断したら、ランチなどにも誘いません。正直感じ悪いなと思いながら、子どものことを考えて我慢しましたけどね」(Rさん・29歳)
「息子の小学校入学のタイミングで引っ越しをしたのですが、そこで息子がお友達3人グループと仲良くなりました。そんなこんなで、その子たちのお母さんたちとランチに行くことになったのですが、夫の仕事を聞かれたときに、じつは私がシングルマザーであること話すと、そのままスルーされて変な雰囲気に。その後、息子は理由もなく3人からはぶかれてしまったようで、しばらく落ち込んでいました。あの時、私がシングルマザーだと打ち明けてしまったから、仲良くするのをやめなさいとママたちに言われたのかなと考えたりして私も落ち込みました」(Aさん・34歳)
●格付けの背景に見え隠れする“満たされない心”
こうした格付けをする背景にはどのような心理が隠されているのでしょうか。
「自分の能力で勝負しているのではなく、付属品での勝負をしようとするのは自分に自信が持てていない証拠」と話すのは、ママ向けの子育て講座などを開催しているファインコーチングの山崎洋実さん。
「夫のキャリアや子どもの能力というのは、目に見えて比較しやすいため、私の方が上位にいるというのを確かめて安心したいという心理が働いているのでしょう。もし、自分自身に本当に自信があればそんなことはしません。心が満たされていないから、人と比較して優位に立ちたいという偏った考えに駆られるのでしょう。とくに、ママたちの世界は誰かが評価してくれる世界ではないのでない、子どもの出来の良し悪しを比較して優位に立つことで、自分が評価されているように感じるのかもしれませんね」(山崎さん、以下同)
自分が満たされていて幸せ感を感じていれば、他人がどうであれ関係ないものですが、やたらと格付けしたがる人は相手と比較することで「自分の価値」を確認したいだけなのかもしれません。
「とくに女性は、共感してほしい生き物。自分の胸の内だけに留めておけないので言葉にして共有してしまいます。その共感が集まったところにママカーストが発生し、一方的な価値判断において格付けする側とされた側のいびつな人間同士の関係が生まれてしまうのでしょう」
ママ同士の世界で生まれる格付け“ママカースト”。まずは、相手との比較をやめるところからはじめた方がよさそうです。
(文・末吉陽子/やじろべえ)