産休前の挨拶をするタイミング
産休を取ることを決めたら、お世話になった社内外の各方面にその旨を伝えます。挨拶する相手は、上司・同僚・取引先などです。関係性ごとに、挨拶の好ましいタイミングを確認しましょう。
上司
始めに挨拶すべき相手は、もっともお世話になっている「直属の上司」です。誰かが産休に入れば、部署全体のスケジュールを調整し「1人抜けた分の穴埋めをどうするか」といったことなどを考える必要があります。相手側の都合を配慮し、上司には早めに妊娠報告をしましょう。
とはいえ、妊娠初期はまだ状態が不安定です。万が一のことを考え、「安定期に入る妊娠16週以降なるべく早く」に報告を兼ねて仕事を継続する意思があることを伝えます。
その際、産休や育児休暇の具体的なスケジュールや、出産にかかわる手当の申請方法などについても相談しておくことがおすすめです。
同僚や社内の人
同僚や社内の人への挨拶は「産休に入る1カ月前まで」に済ませておくのが一般的です。1カ月ほどあれば、業務の引き継ぎを行い必要な手続きを滞りなく済ませられます。
ただし、専門性が高かったり複雑だったりする業務の場合は、実際に相手が業務を引き継いでから質問が出てくることがあります。任せる相手の負担を減らせるよう、引き継ぎ期間に十分な余裕をもっておきましょう。
また、妊娠後期になるとおなかが目立ち、体調をくずすこともあります。いざというときに頼れるよう、同じ仕事をしている人たちには早めに個人的な挨拶をしてもよいかもしれません。
取引先やお客様
取引先やお客様に対しても「産休の1カ月前までの挨拶」がマナーとされています。特に、自分が主な担当として業務にあたっていた取引先には、丁寧な対応が必要です。
担当が変われば、仕事の進め方にも影響が出ます。ロスをなるべく減らすためにも、新しい担当の紹介と引き継ぎには十分な時間をかけましょう。
よい対応で担当替えを惜しんでもらえれば、仕事に復帰するときに有利に働くことも期待できます。社内への挨拶が済んだら、すぐに社外へ向けた挨拶の準備に取りかかりましょう。
社内向けの挨拶の仕方
社内の雰囲気によって、挨拶の方法は変わります。まとめて挨拶できる機会を設けてくれる場合もあれば、個人で機会を作らなければいけないこともあるでしょう。
しかし、どのような方法であっても伝えるべきことは変わりません。ここでは、社内向けの挨拶のポイントを、例文とあわせて紹介します。
内容のポイント
産休の挨拶に入れるのは「産休を取らせてもらうことへの感謝」「仕事に復帰する意思」の2点です。産休が女性に保障された権利であっても、上司や同僚に少なからず迷惑をかける事実は変わりません。周囲の配慮に心から感謝を述べておきましょう。
産休・育休の後に復帰することを決めている場合は、その旨もきちんと伝えます。ただし、復帰の時期については触れないでおく方が賢明です。
妊娠出産は、予定通りにいかないことも珍しくありません。予定よりも休暇が伸びることも想定し、明言するのは避けておきましょう。
メールの挨拶例文
「お疲れ様です。○○部○○課の○○です。私事で大変恐縮ですが、このたび、○月○日より出産休暇(および育児休暇)を取得させていただくことになりました。
不在の間、大変なご迷惑をおかけするかと思いますが、どうかよろしくお願いいたします。休暇中の業務は○○さんに引き継ぎをお願いしました。
メールでのご挨拶となってしまい、申し訳ありません。またみなさまと一緒に働ける日を楽しみにしております。」
休暇に入る日程や上司や同僚への感謝のほか、「引き継ぎ先」が確定してればその旨も入れておくとよいでしょう。
口頭での挨拶例文
「○○部○○課の○○です。このたび、○月○日より出産休暇をいただくことになりました。みなさまには大変なご迷惑をおかけして申し訳ありません。
出産後に育児休暇に入らせていただきますが、~ころには復帰できればと考えております。復帰後には、これまでよりも会社に貢献できるよう努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。」
復帰の予定を伝えるときは、「日程をぼかす」ことがポイントです。ダラダラと話し続けたり、反対に素っ気なくなったりしてしまわないように、前もって言うべきことを簡潔にまとめておきましょう。
社外向けの挨拶の仕方
取引先には、できれば「対面」で挨拶することをおすすめします。とはいえ、複数のお客様との取引がある場合、ちょうどよく仕事する機会がない限り、全員に挨拶してまわるのは現実的とはいえません。そこで、社外向けに失礼のない挨拶メールの書き方を会得しておきましょう。
内容のポイント
取引先など社外の人への挨拶には、「最終出社日」と「後任となる社員の紹介」を入れておきましょう。この2点は、会社間のスムーズな引き継ぎに欠かせない情報です。
引き継ぎと後任のフォローをスムーズにできる人は、「できる社員」としての評価が高くなります。反対に、引き継ぎをおろそかにすれば、その分仕事のチャンスは減るかもしれません。
復帰に関しては必須ではありませんが、復帰後にまた一緒に仕事する可能性を考えてひと言添えておいてもよいでしょう。
メールの挨拶例文
「平素より大変お世話になっております。○○社○○です。このたび、○月○日より出産休暇を取得させていただくこととなりました。休暇中の業務に関しましては、○○部○○課○○が後任となります。
本来であれば直接ご挨拶に向かうべきところ、メールでお伝えすることになってしまい申し訳ございません。今後とも変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。」
自分の署名の前に、「後任者の部署」「電話番号」「メールアドレス」を入れておきましょう。
挨拶時に配るお菓子の選び方
挨拶にお菓子を添えると、より丁寧さがアップします。しかし、お菓子選びを間違えると、かえって「気の利かない人」と思われてしまうかもしれません。最後に、社内外で共通の、喜ばれるお菓子の選び方について紹介します。
日持ちするもの
会社に持っていくお菓子は、基本的に「日持ちするもの」が好まれます。賞味期限まで余裕のあるものなら、休みを取っている人や出張に出ている人がいても、さほど日程を気にせずに済むためです。
日持ちする代表的なお菓子には、クッキーやラスク、マドレーヌといった「焼き菓子」などがあります。夏場なら、小ぶりな「ゼリー」なども喜ばれるでしょう
個包装になっているもの
よほどのこだわりがない限り「個包装されているもの」を選びましょう。会社に渡された手土産は、誰かが代表してデスクに配って回るか、食堂やリフレッシュルームに置いて個別に持っていってもらうことがほとんどです。
そのため、切り分けるタイプの手土産は、配る人に手間をかけてしまいがちです。休憩中につまめるように、「粉が飛び散ったり手を汚したりしないもの」であることも考慮に入れましょう。
少人数ならちょっと高級なものを
個包装の数が少ないと、お菓子が安っぽく見えてしまいます。配る人数が少ないのであれば、1人にかける予算を少し上げて「高級なお菓子」を選ぶとよいでしょう。
賞味期限が長めのプチケーキやガトーショコラ、ドライフルーツなどもおすすめです。和風であれば、ようかんや和三盆スイーツなども候補に入れてみてはいかがでしょうか?
まとめ
産休の挨拶は謙虚な姿勢を忘れず、感謝の気持ちを込めて行います。気持ちが伝われば、気持ちよく出産育児の応援をしてもらえるでしょう。
直接お世話になる上司や同僚には、正式な報告をしたうえで、産休に入る前日に改めて挨拶をしておくのがベターです。
挨拶の言葉にしろ引き継ぎの仕方にしろ、誰かにものを頼むときにこそ人柄が表れます。「また一緒に働きたい」と復帰を待ち望んでもらえるような、丁寧な挨拶を心がけましょう。