過去の調査と比較し、インターネット・SNSを活用した幅広い情報収集が増加していることも明らかになったが、その一方で氾濫する情報によって、判断に迷いが生まれていることも事実。特に今年は新型コロナウイルス感染拡大で直接対面する相談機会が減っており、子育ての不安は大きいとみられている。
今回の調査は、2月から4月上旬にかけて「エンゼル110番」に電話をした5ヵ月から2歳までの子どもを持つ母親を対象に「離乳食とベビーフード」についてアンケートを実施した。過去2回(1993年、2000年)の同調査と比較し、意識変化を考察してレポートにまとめた。
今年の調査では、離乳食の開始時期は5ヵ月ごろからと回答した母親が全体の68%で一番多く、6ヵ月以降も約30%いた。93年には40%以上の母親が5ヵ月以前と回答していたが、現在は2%とほとんど見られなくなっている。
情報源については、「離乳食の本」を頼りにしている母親が最も多いが、以前のアンケート調査時には存在しなかったインターネット、SNS、アプリの利用が増加。ツイッターなどで他の母親たちとの情報交換が盛んになり、専門サイトやアプリも種類豊富に出てきていることから、情報・ノウハウを手軽に入手できるツールを活用していることがうかがえる。
一方、「せっかく作ったものを食べてくれない」や「どんなものを、どのくらい(分量)あげれば良いか分からない」などといった声は、過去の調査から変わらない大きな悩みだ。
昨年、12年ぶりに「授乳・離乳の支援ガイド」が改訂され、その中で、卵の開始時期を「離乳中期(満7~8ヵ月)から」とされていたものから「離乳初期(満5~6ヵ月ごろ)から」に変わった。
そのため「エンゼル110番」には、具体的な食品の開始時期や進め方に関する問い合わせが以前に比べて多くなっている。
さらに、今年は新型コロナ禍で、多くの母親たちが頼りにしている乳幼児健康診断や離乳食教室が中止になることが多く、発達の相談に加え、離乳食の相談もできず不安に感じている様子もうかがえる。
また、ベビーフードの利用経験者は全体の80%台で過去2回の調査と比べて大きな変化はないが、厚生労働省の調査では、離乳食づくりへの負担を感じる母親は、全体の33.5%に上るとされる。
今後はニーズにあった安全・安心で経済的な負担の少ないベビーフードが増えることで、利用率が高まる可能性もある。
◇日本食糧新聞の2020年11月9日号の記事を転載しました。
配信: たべぷろ
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