●学校から逃げては解決にはならない
外国では、学校に通わせずに自宅で勉強を教える「ホーム・スクーリング」も増えており、学校へ行かなくても大人になってから、成功した人もいます。そうしたことから、いっそのこと無理して学校に行かせなくても、なんとかなるのでは? と思う親もいるかもしれません。しかし、中山さんは次のように指摘します。
「世の中には学校に行かないで社長になった、偉い学者になったという人はいます。ただ、そういう人たちは、自分の固有の能力を引き上げるために学校へ行かないだけであって、不登校を自分が立ち止まるという理由にはしていません。もちろん、学校へ行かないことで、集団適応能力に何かしらの影響は出るかもしれませんが、同じ不登校でも目的が違います。不登校は克服するべき問題です」
●不登校克服は低学年期がチャンス
「学校は、大人の社会を疑似体験できる場所です。そこから自分を守るために家庭に逃げている、という状態は社会適応能力を身につけるチャンスを失い、子どもにとって大きなデメリットになってしまいます」
とくに、小学校低学年で不登校を定着させるのは避けるべき、と中山さんはいいます。
「小学校低学年の場合、周りのアプローチしだいで早く解決できるケースが多いです。大人になると忘れてしまうものですが、学校はストレスが多い場所です。感受性が豊かな子どもだと、なおさら。まずは、家庭で子どもに自信をつけさせるため、結果だけを評価せずに過程を評価する。学校に行く準備をしようとしたら、『ちゃんと準備するようになったね!』とか、学校に通えるようになったという結果にいたるまでの過程を気づいてあげます。そうすると次第に自信が生まれ、不安感が薄れてきます」
不登校のまま高学年になってしまうと、問題が根深くなってしまい完全に学校に行けなくなってしまうことも多いそう。いつか前向きに行けるようになるだろうと待っているだけではなく、行くまでのプロセスを家庭でしっかり評価してあげることが、不登校克服の第一歩です。
(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)