いまだそんな風に誤解している親は少なくないと聞く。わが子の目が悪くなっていることがわかったら、まずすべきことは適切な治療。眼鏡はそのために欠かせない「医療機器」だ。
では、子どもの眼鏡を作るときに気をつけるべきこととは? 数多くの小児眼科疾患に対応している日本橋はま眼科クリニックの院長・浜由起子先生に、子どもと視力の関係について聞いた。
「まず絶対にやめてほしいのが、眼鏡販売店に直行することです。量販店の視力検査は、大人向けの簡易的なものです。視力検査に慣れていない幼い子の場合、慣れない検査で『見なきゃ!』と緊張が高まると、近視寄りの数値が出てしまいがち。特に小学校低学年以下のお子さんが眼鏡を作るときは、必ず眼科医の診療を受けてください」(浜先生 以下同)
●度数の合わない眼鏡をかけたときの弊害
仮に、前述のように緊張などで誤った検査値になり、本当は0.8なのに0.1という検査結果が出てしまうと、その子は0.1の度数の眼鏡をかけることになる。その場合、どんな影響があるのか?
「度数の合わない眼鏡をかけてしまうと、柔らかい子どもの目はその度数に合うように成長してしまい、結果的に近視が進んでしまうことになるのです。眼鏡をかけ始める時期や度数の選択は、幼い子の場合は慎重にすべきだということを覚えておいてください」
ちなみに、「眼鏡をつけたり外したりすると目が悪くなる」という俗説は本当なのだろうか?
「それは絶対にありえません。むしろ、眼鏡のいいところは、簡単につけ外しができるところ。眼鏡というのはあくまで必要なときにかけるという便利な道具なので、適切な度数の眼鏡をかけたり外したりすることで視力が低下することはありません」
●子のコンタクトレンズは中学生からが目安
ところで、コンタクトレンズの場合は何歳くらいから使えるのだろう?
「日本眼科学会では、コンタクトレンズの使用は中学生になってからを推奨しています。デリケートなコンタクトレンズをしっかり管理できるようになるのは、やはりそのくらいの年齢が必要です。先ほど述べた眼鏡と違って、目の成長期にコンタクトレンズをつけっぱなしにすると、視力低下の要因となります。スポーツをしている子どもの場合は眼鏡が邪魔になってしまうこともありますが、私個人としては成長期のコンタクトレンズはあまりオススメしませんね」
わが子の視力が低下したときは、まずは目の正しい成長をフォローする眼鏡選びを心がけよう。
(阿部花恵+ノオト)