その施策とは、給食費を3カ月未納した場合、給食の提供をストップし、お弁当を持参するという内容。7月から実施予定だったが、事前に未納の保護者(43人)に通知した結果、40人が納付の意思表示をした。施策に対して、ネット上では、「給食費を払っていないのだから、提供が止まっても当然」と支持する人がいる一方、「子どもは悪くないのに可哀そう」と、反対する人もおり、賛否両論の意見が飛び交っている。
全国の学校給食を実施している公立小・中学校のうち583校に対して、文部科学省が調査した結果によると、平成24年度の未納者の割合は、約0.9%(20万5802人のうち1910人)。未納額の割合は、約0.5%(給食費総額:約91.1億円のうち約4500万円)に及んでおり、給食費の未納問題は深刻な状況だ。
しかし、未納のおもな原因を見てみると、「保護者としての責任感や規範意識の問題」(61.3%)、「保護者の経済的な問題」(33.9%)、「その他」(4.9%)と、半数以上は「給食費を納められるのに、納めない」という結果になっている。給食費未納と聞くと、ひっ迫した家庭の経済状況を想像する人は多かったのだろう。実情への落胆が、非難の声を大きくしたのかもしれない。
なかには、本当に支払い能力のない家庭もある。今回の施策は、そうした家庭の経済状況をさらにひっ迫しかねない。また、子にとってみれば、給食は「あのメニューが好きだった」「苦手な野菜を食べるのに苦労した」など、学校時代の大切な思い出のひとつになるもの。給食の提供がなくなれば、子の大切な思い出を奪うことになってしまう。さらに自分だけが、給食ではなくお弁当を持参することで、いじめに遭う可能性もないとは言い切れない。子が楽しく学校生活を送るためにも、給食費の未納はしないように心がけたい。
(文・奈古善晴/考務店)