砂糖の種類による使い分けを知ろう!種類別の特徴と適した使い方について解説

砂糖の種類による使い分けを知ろう!種類別の特徴と適した使い方について解説

砂糖には、上白糖、グラニュー糖、三温糖……などとさまざまな種類がありますが、それぞれの違いをご存じですか?味わいだけでなく、用途によって使い分けることで仕上がりに違いが出ます。今回は砂糖の種類と使い分け方をご紹介します。ぜひ買い物の際や、毎日の料理の際の参考にしてみてくださいね。

「白い砂糖」と「茶色い砂糖」の違いは?

砂糖には白いものと茶色いものがありますが、その違いは製法の過程にあります。

砂糖を作る際、先にできるのがグラニュー糖や上白糖などの白い砂糖です。その白い砂糖を取り出した後、さらに加熱をして煮詰めてできあがるのが三温糖や中ざら糖(ざらめ糖)などの茶色い砂糖です。加熱の際にカラメルの色がつくため、茶色くなるというわけです。

白い砂糖はすっきりとした甘さであるのに比べ、茶色い砂糖はカラメルの風味がつくため独特の味わいになります。

白い砂糖は身体に悪い?

「白い砂糖は身体に悪く、茶色い砂糖は身体に良い」……などと聞いたことがあるかもしれません。ですが先ほど説明したように、白い砂糖と茶色い砂糖の違いは製法であり、それ以外に大きな違いはありません。

また、茶色い砂糖のうち、黒砂糖やきび砂糖、てんさい糖はビタミンやミネラルが豊富といわれます。確かに上白糖と比べるとやや多くなっていますが、これらの栄養素を摂取するために砂糖を変えたとしても期待するほどの違いはないでしょう。

また「白い砂糖は身体を冷やす」などともいわれ、確かに東洋医学では身体を冷やす食べ物に分類されることがあります。ですが、「茶色い砂糖は身体を冷やさない」というはっきりした根拠もありません。砂糖は通常であれば、体のエネルギー源となり体温を上げてくれる食べ物です。

問題となるのは砂糖をとり過ぎた場合で、砂糖を多く使ったものをたくさん食べることで食事が乱れ、必要な栄養素が不足して体温に影響する可能性はあります。白い砂糖、茶色い砂糖ともにとり過ぎは健康への影響が大きいものです。「身体に良い・悪い」で使い分けるのではなく、どちらの場合もとり過ぎないことが大切です。

※参照:文部科学省 日本食品標準成分表 2020年版(八訂)

種類別!料理や味わいの違いによる使い分け方

では多くの種類がある砂糖ですが、どのように使いわければいいのでしょうか。砂糖の種類別に特徴や違いについて解説します。

上白糖

上白糖はもっとも一般的な砂糖で、国内の砂糖消費量の約半分を占めています。さとうきびやてんさいの絞り汁を結晶化させて乾燥させたものに糖液(シロップのようなもの)をかけているため、しっとりとしています。

味わいもソフトなので、料理、製菓などどのような用途にも使いやすい砂糖です。

製菓にはグラニュー糖が使われることが多いですが、上白糖に置き換えても問題ありません。
上白糖で作るお菓子は、グラニュー糖に比べると焼き色がつきやすく、しっとり仕上がるのが特徴です。しっとりさせたいマドレーヌ、パウンドケーキ、カステラなどはむしろ上白糖の方が適しています。

グラニュー糖

グラニュー糖は、さとうきびやてんさいの絞り汁を結晶化させて乾燥させたものです。上白糖とは違い、糖液をかけられていないためサラサラとした質感で、上白糖より結晶が大きいのが特徴です。日本では上白糖が主流ですが、世界的にはグラニュー糖の方が多く使われています。

純度が高くすっきりとした味わいが特徴で、コーヒーや紅茶などに使うスティックシュガーや製菓に用いられます。

グラニュー糖はクセがないため製菓に用いられることが多く、とくに焼き色をあまりつけたくない場合や、軽く仕上げたい場合に向いています。スポンジケーキやタルトなどはグラニュー糖が適したお菓子です。

とはいっても、家庭で楽しむ程度のお菓子作りであれば、上白糖とグラニュー糖、どちらを使っても十分おいしく仕上がるでしょう。

三温糖

三温糖は、上白糖などの結晶を取り出した糖液を煮詰めて作られます。加熱されるためカラメルの色がつき、茶色に変化します。

独特の風味があり、甘さも強いのが特徴で、煮物にコクを出したいときなどに使われます。

きび砂糖との違い

三温糖と似た茶色い砂糖に「きび砂糖」がありますが、実はきび砂糖は日新製糖株式会社独自の商品名。三温糖とは少し製造法が異なります。

三温糖は完全に精製された糖液を煮詰めて作るのに比べ、きび砂糖は精製途中の完全に不純物をろ過していない状態の糖液を煮詰めて作られます。そのため三温糖とは違い、黒砂糖に近いような独特なコクや風味を感じられます。
煮物や照り焼きなど、コクを出したいときに使われます。

白ざら糖

出典:農林水産省「砂糖の種類」

白ざら糖はグラニュー糖よりさらに結晶が大きく、透き通って光沢があります。砂糖の中でもグラニュー糖と同様に純度が高く、上品な甘さです。

上白糖などに比べると高価なため一般に用いられることは少なく、高級な菓子やゼリーなどに用いられます。

中ざら糖(ざらめ)

中ざら糖は三温糖と同じように糖液を加熱して作られます。三温糖より結晶が大きく、一般的に「ざらめ」といわれます。純度が高く、まろやかな味わいです。

味わいを活かし、煮物や佃煮、漬物などに使われます。

粉砂糖

粉砂糖はグラニュー糖を粉砕して、粉状にしたものです。サラサラとしていますが、固まりやすいためコーンスターチなどのでん粉を加えられているものも。

製菓の仕上げや、アイシング作りに使われます。

氷砂糖

氷砂糖はゆっくりと時間をかけて結晶を大きくした砂糖です。飴のようになめて食べることもできます。

氷砂糖は果実酒や果実シロップを作る際に用いられます。これは、氷砂糖がゆっくりと溶けることで果実のエキスがじっくりと溶けだしやすくなり、果実の香りがよく仕上がるから。また普通の砂糖に比べると溶け残りにくいことも理由のひとつです。

※参照:独立行政法人 農畜産業振興機構 お砂糖豆知識[2003年12月]

黒砂糖(黒糖)

黒砂糖はさとうきびの絞り汁をそのまま煮詰めたもので、固形または粉末状のものがあります。さとうきび特有の濃厚な味わいと甘さが特徴です。

固形のものはそのまま食べられることもあります。ほかにはかりんとうや駄菓子、黒みつ作りなどに使われ、料理に使う場合は独特のコクのある風味に仕上がります。

「てんさい糖」って何?

出典:てんさい(ホクレン)

てんさい糖は、北海道で栽培されるてん菜(別名:サトウダイコン)を原料とした砂糖です。上記で紹介した砂糖のうち、きび砂糖と黒砂糖だけはさとうきびが原料のものを指しますが、ほかのものは原料に関わらず名称が決められています。

てん菜

てん菜を原料とした砂糖の中にも上白糖やグラニュー糖はありますが、一般的には「てんさい糖」は、茶色い砂糖を指すことがほとんどです。茶色いてんさい糖は、てん菜から上白糖やグラニュー糖を結晶化させて取り出したあとの糖液を乾燥させて作られます。(※)

てんさい糖の中にはオリゴ糖が含まれているものもあり、腸内環境を整えてくれるのに役立つため、「健康に良い」というイメージを持つ方も多いようです。

※参照:ホクレン てんさい糖ができるまで

砂糖の種類と特徴まとめ

それぞれの砂糖の特徴をまとめると下記のとおり

画像出典:農林水産省てんさい糖(ホクレン)

概ね精製度が高いほど純度が上がりクセのない甘味に、逆に低いほど原料本来のコクを味わうことができます。
用途として製菓用・料理用といった明確な使い分けはありませんが、精製度が高く無色透明の砂糖は製菓用に、逆に茶色いものや精製度が低いものはコク深いまろやかな味わいとなるため煮物などの料理に重宝される傾向にあります。

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