●転勤で夫婦の信頼度が試される
夫婦問題に詳しい岡野あつこさんによれば、「妻が転勤についていかない方が離婚のリスクは高まると思います」とのこと。
「もちろん人によりますが、妻が転勤についてこないと、ほとんどの夫は相当な不満を溜めこんでしまうようです。口では『君が決めればいいよ』などと理解があるような言葉を発していても、実際には近くで自分をサポートしてくれる意思がない妻に対してがっかりしてしまうわけです。男の人は執念深いので、このことが後々修復できないほどの遺恨を生むきっかけにもなりかねません」(岡野さん、以下同)
仮に転勤についていかないとしても、ただ単に『行きたくないから』ではなく、「子どもが小さく実家の育児サポートが必要だから」といった理由を丁寧に説明するか、持ち家の場合は「私が家を守るから」など、“家族のための決断”であることを強調すべきかもしれません。
●転勤で夫婦関係をこじらせないために必要なこととは?
ただ、逆についていったとしても、新生活によって生じる弊害をあらかじめ覚悟しておく必要があると岡野さんは指摘します。
「慣れない土地での暮らしにストレスを感じても、『あなたが転勤だから仕方なくついてきたのよ』とか、『こんなところで暮らしたくなかった』とか、夫が反論できないようなネガティブな発言は禁物です。また、逆に転勤前はやさしかった夫が、ストレスによってモラハラ男に豹変してしまうケースもゼロではありません」
そうしたストレスを断ち切るには、新しい土地を二人で楽しもうとする、ポジティブな姿勢を持つことが大事だといいます。
「ついていく場合は、ふたりで積極的に地域に馴染む努力をしましょう。片方だけが楽しくやっていても、片方が楽しくなければ喧嘩になります。どちらかだけがストレスを抱え込むような状況は好ましくありません。習い事をするにしても、休みの日にどこかに出掛けるにしても、最初のうちは意識的に夫婦で行動するようにしましょう」
一方、ついていかない場合も忘れてはいけないことがあるという。
「それは、感謝と尊敬の気持ちをきちんと言葉で表すこと。給料日には必ず電話をして、『いつもありがとう!』とか、『ひとりで生活は大変ななか、仕事を頑張っていて尊敬している』ということをしっかり伝えましょう。絶対に避けたいのは夫を単なるATMのように考えてしまい、養ってもらうのは当たり前という態度。毎日顔を合わせていればまだしも、遠距離でそのような素振りをみせてしまうと、夫の気持ちはたちまち離れていってしまうと思います」
夫婦の絆というのはしっかりしているようで脆いもの。転勤で夫との関係が悪くならないためにも、一緒にいるとき以上にコミュニケーションを取った方が良いかもしれません。
(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)