●見逃しがちだけど症例が多い3つの障害
1)確認がやめられない「強迫性障害」
「繰り返しの行動をしたり、何度も確認したくなるというのが、強迫性障害の特徴です。分かりやすい例ですと、手を何回も洗うなどの行為があります。そこまで病的ではなくても、物を順番に並べないと気が済まないとか、玄関を何度も出入りしてからじゃないと外出できないとか、そういう強迫性を持っている子は結構多いですね。幼少期の子どもでも割とみられる問題です」(皆川院長、以下同)
2)体の不調を訴える「身体化障害」
「腹痛や頭痛などが起きて診察や検査をしても、体自体には異常は見つからないのですが、症状のために日常生活に支障を引き起こします。小児科や内科に連れて行っても、体はどこも悪くないので大丈夫ですよと言われることが多いため、心の問題とはすぐに気がつかずに時間がたってしまうことが多いですね」
3)突然歩けなくなることもある「転換性障害」
「転換性障害でよくあるのは、突然声が出なくなったり、歩けなくなったりという身体機能の症状です。おもに感覚や運動にまつわる障害がおきます。幼い子どもは言語表現がまだ乏しいため、言葉で表せない心の葛藤が身体症状として現れてしまうことがあるのです」
●子どもの心の問題、何が原因?
こうした症状を引き起こす原因は、生まれつきの体質はもちろん心理的なストレスによることが多いのだそう。
「『強迫性障害』は脳内で分泌される“セロトニン”という心のバランスを整える物質のアンバランスによって起きます。環境の変化などによるストレスからセロトニンの分泌に問題が生じると、行動などに支障が出たりします。
『身体表現性障害』と『転換性障害』については、苦しいとかつらいという感情や困難な状況を適切に言葉で表せないために、それらを本人が心に溜め込んでしまい、身体症状として表現するということです」
こうしたストレスによって引き起こされる症状は個人差があるものの、どんな子にでも起こりうることなのだそう。身体に問題がなくても、心に何かを抱えている可能性があるということを、親が理解しておくことが大切かもしれません。
(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)