●不安をあおる記事は、まずは疑うべき!
「まず、未来を担うお母様方に申しあげておきたいのは、“食品に対する基本概念”を知っておいて頂きたいということ。食品とはいったいどんなものなのか…食品は医薬品とは違い、本来“安全である”ことが大前提で、ネット上に飛び回る噂を信じてしまうお母様方には、まず意識改革をして頂きたいと思います。世の中に出回っている“食品”と呼ばれるもの…まずこれは、ほとんどが安全な商品であると言えます。不安をあおる記事は、“摂取量”の観点が欠落していることが多いので、まずは疑ってかかるべき! これからの時代、消費者は、この疑う力を養い、正しい情報を科学的に判断する“消費者力”を高め、賢い消費者となるべきなのです」(山崎氏 以下同)
カルパスを始めとした加工肉には、発がん性物質が含まれているため、体に悪影響を及ぼすとも言われるが…。
「カルパスや加工肉に関わらず、すべてにおいてそうですが、添加物や保存料に敏感になっておられるお母様方は非常に多いですね。でも、食品に含まれる保存料や添加物が直接体に害を及ぼすとすれば、それは大問題。そんな危険な食品が、いまの日本市場に出回るわけがありません。もちろん、1日に100個食べたら栄養バランスの点で安全とはいえませんが、保存料や添加物はあくまで摂取する“量”が問題であり、1日に1回加工肉を食べたところで、まったく問題はありません」
上のイメージ図にもあるように、添加物ががんに及ぼす危険性は、「野菜嫌い」などと比べると極めて低いことがよくわかる。添加物は、発がん性が判明すれば、許可されないルールになっている。添加物や保存料は、逆に人の命を守るために必要不可欠なものであると語る山崎氏。
「もしも添加物、保存料がなければ、生鮮食品以外で、今食卓に並ぶほとんどのものは流通しません。添加物や保存料があるからこそ、逆に食品の安全・衛生面が保たれ、食中毒を防ぐことができ、色鮮やかな食材たちが食卓を賑わせることができるのです。現在447品目の指定添加物が認可されていますが、各種動物実験でしっかりと安全性が確認され、使用基準も決められており、主要な添加物は、長年の食経験で健康被害の報告は皆無です。食品に入っている添加物の量は、人が一生食べ続けても健康への影響がないとされる“1日摂取許容量(ADI)”に比べてはるかに少なく、健康影響への心配はないと考えていいでしょう」
「食品の多くは安全」という正しいリテラシーを得て買い物をすれば、健康リスクに怯える必要はない。
(取材・文/蓮池由美子)