妊娠中の飲酒が赤ちゃんに与える影響
アルコール飲料から摂取されるアルコールのほとんどはエタノールです。妊娠中に飲酒すると、エタノールは分子が小さいので容易に胎盤を通過し、おなかの中の赤ちゃんに移行します。おなかの中の赤ちゃんの肝臓は未熟で、アルコールを分解する機能が低いため、さまざまな影響が生じるおそれがあります。
妊娠中、ママが習慣的に飲酒していると、「胎児性アルコール症候群(FAS:fetal alcohol syndrome)」の赤ちゃんが生まれる頻度が高まります。胎児性アルコール症候群の赤ちゃんは、①成長障害 ②精神遅滞 ③種々の奇形の3つの徴候がそろっている場合をいい、わが国の研究では、1~2万人に1人の頻度と考えられています。
胎児性アルコール症候群は、1日に、ビールでは中瓶約2.5本(1,250ml)、清酒では約2合(400ml)、ウイスキーではダブル約2.5杯(150ml)、ワインではグラス約4杯(500ml)以上を摂取することで発症の頻度が高まるといわれていますが、これよりも少ない量でも胎児性アルコール症候群を発症した例もあるため、どのくらいまでならアルコールを摂取してもよいということがいえないため、妊娠中の飲酒は控えた方がよいでしょう。
そして、赤ちゃんの奇形は妊娠初期、発達遅延や中枢神経系の機能不全は妊娠後期のアルコール摂取に関連があり、また、妊娠中のアルコール依存は、乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症リスクを増加させるという研究結果もあるようです。
ノンアルコール飲料や養命酒は飲んでもOK?
酒税法では、アルコール分が1度以上含まれているものを酒類と定義しているため、含有アルコール量が1%未満の飲み物はノンアルコール飲料として販売されています。つまり、「ノンアルコール」と銘打った飲料でも、アルコールがわずかに含まれているものもあるため、妊娠中は飲まないのがベストです。また、滋養強壮や栄養補給を目的とした薬用養命酒なども、アルコール分を含んでいるケースがあるため注意が必要です。
一方、料理に使用する料理酒やワインなどは、焼く、煮るなどの加熱中にアルコールが飛んでしまうようなお料理に使用する分には問題ありません。お料理に使用するアルコールは、普通に飲酒するときの量に比べて少量ですが、やはり使い過ぎには注意しましょう。
※参考:基礎知識(妊娠中)「妊娠中の飲酒の影響は?妊娠超初期でも影響がある?ノンアルコール飲料や養命酒なら大丈夫?」【著者:助産師 REIKO】
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