『卒婚のススメ』(静山社文庫)著者の杉山由美子さんに聞いた。
「『卒婚』のいちばん大きなメリットは、自分の人生の後半戦を前向きに考えられることです。そもそも家庭を維持するために、女性はよほどの努力をしているもの。それを離婚という形でご破算にするのはかなりの覚悟が必要ですよ」(杉山さん 以下同)
基本的に、パートナーのほかに真剣に好きな人ができた場合などは別として、何かを犠牲にしてまで家庭を壊そうとする人はあまりいない。
それでも「結婚を卒業する」ことを選ぶのは、長年の結婚生活のなかで気づかないうちに生じてしまったズレや違和感を見直そうということ。
●卒婚のデメリットはお金がかかること!
一方、「卒婚」のデメリットはどんなことだろうか。
「デメリットはお金がかかること。卒婚は夫婦のきずなを保ちながらも、別々に暮らすこともあります。一人ずつ暮らすとなると、あらゆるところで一緒に暮らすよりもお金がかかってきます」
そうした経済的デメリットを解消するために、杉山さんがすすめるのは、「卒婚」の部分的な取り入れ方だそう。
「いきなり離婚する、別々に暮らすというと、ハードルも高く、大きな覚悟が必要ですから、まずは家庭内別居や時間差生活、子どもを夫に預けて少し出かけるなど、部分で『卒婚』してみると良いでしょう」
また、女性が仕事に出るなどして夫と役割を交代してみる、地域活動に参加するなど、「小手先で不満を解消させる方法」を探ってみることも有効だという。
「人を変えるのは難しいもの。だったら、自分がまず変わりましょう。例えば、夫に納得してもらってからの再就職が難しければ、自分が動き出して働きに出てしまう。妻がいなければ、夫も家のことをせざるを得なくなりますし、それをきっかけに変わらないと思った夫が知らぬ間に変わることはあります」
どちらかが我慢し続ける、あるいは互いに我慢しあうのではなく、新たな一歩を踏み出すきっかけとなる「卒婚」。「新しい結婚の形」としてアリなのかも。
(田幸和歌子+ノオト)