お菓子作りなどでよく使われるベーキングパウダー。生地を膨らませる働きがあり、ふっくらさせたいときに便利ですよね。しかし、使う頻度は少ないため、開封後時間が経ってしまっていたり、購入を忘れてしまったりすることがあるのではないでしょうか?今回は、家に眠ってしまっているベーキングパウダーが使用できるかチェックする方法や、ベーキングパウダーがない場合の代用品についてご紹介します。
そもそもベーキングパウダーの役割とは
ベーキングパウダーが料理やお菓子作りの中で持つ役割は、生地を膨らませることです。
元々は炭酸水素ナトリウムである重曹に、酸性剤などを加えてできたのがベーキングパウダー。炭酸のガスが加熱によって膨らみ、生地をふっくらと仕上げてくれます。
ベーキングパウダーと重曹の違い
ベーキングパウダー同様に、生地を膨らませる特徴があるのが重曹です。
重曹というと掃除で使うイメージを持っている方もいるのではないでしょうか。それぞれの違いは、膨張する性質に現れます。
ベーキングパウダーは水分で膨張し、加熱でさらにその反応を加速させるのに対して、重曹は加熱によって炭酸ガスを発生させて膨らみます。そして、ベーキングパウダーは仕上がりの焼き色に影響を及ぼしませんが、重曹はやや黄色味のある色になります。同じ膨張させる素材でも、性質や焼き色に変化があるのです。
ベーキングパウダーを家で保管する場合
ベーキングパウダーを使うタイミングはお菓子を作る日など、決まった用途の時が多いのではないでしょうか。ではしばらく使わない時に、どのように保管しておくのが適切か解説します。
保管方法
ベーキングパウダーは常温のまま保管しましょう。冷蔵庫の中へ入れている方もいると思いますが、これはあまりおすすめしません。理由は、取り出す度に温度差で結露ができてベーキングパウダーに水分が反応してしまうから。
水分に反応することで次第に膨らませる力が弱くなってくるので、常温保存していきましょう。また、一度開封したものは賞味期限が半年〜1年程度なので、この期間を目安に使ってくださいね。
古いベーキングパウダーがまだ使えるかチェックする方法
しばらく使わないとそのままにしてしまうベーキングパウダー。実はまだ使えるかどうかをチェックする方法があると知ってましたか?家ですぐにできる簡単な方法を解説します。
①ボウルに大さじ3のお湯を入れる
まずは容器の中にお湯を用意します。
②小さじ1/2のベーキングパウダーを入れる
用意したお湯の中に小さじ1/2量のベーキングパウダーを加えましょう。
③シュワシュワと泡が立てば使用可能。泡立たない場合は使用できない。
ベーキングパウダーを入れてすぐにシュワシュワと泡が立ってきます。泡立たない場合は品質が劣化しているので、新しいものを用意しましょう。
ベーキングパウダーの代用品を徹底比較!
ベーキングパウダーは毎日使うものではないからこそ、使いたい時には家にない場合も多いですよね。今回はベーキングパウダーの代用として他の素材でも使えるかどうか、蒸しパンを作って検証してみました。生地の膨らみ加減や、香りなどそれぞれ★5段階で評価し、★の数が多いほど良い評価を表しています。ぜひ参考にしてみてください。
ベーキングパウダー
まずは通常のベーキングパウダーを使用してみました。見た目からもふんわりとした印象になり、食感も1番柔らかく仕上がっています。
・膨らんだ嵩の高さ:★★★★★
全種類で1番高く膨らみました。およそ4cmほど高さがあり、指で押すとふわっとした弾力が楽しめます。他の材料で作ったものに比べて1番柔らかい印象で、見た目の色も白っぽい黄色です。
・断面の基本のでき方:★★★★★
断面もふんわりとしており、中はほどよく空気も入っています。
・匂い・味:★★★
ほんのりとした甘い香りが漂っていました。砂糖の甘さを感じつつ、シンプルな仕上がりとなっています。
・時間を置いた後の変化:★★★★★
2時間後のものですが、弾力などが落ちることもなくふわっとしていました。
重曹
ベーキングパウダーを重曹で代用した場合です。代用する際はベーキングパウダーの半分量で使用しましょう。冒頭で説明した通り、重曹も膨張させる性質を持っているので膨らみます。重曹で置き換える際は、食用のものを使用してくださいね。
・膨らんだ嵩の高さ:★★★★
ベーキングパウダーより少し小ぶり程度の膨らみです。ベーキングパウダーより少し弾力があり、見た目はやや黄色の色が強く出ています。
・断面の基本のでき方:★★★★
ベーキングパウダーより少し中身が詰まっています。表面はふんわりしていますが、中は少し硬さを感じます。
・匂い・味:★★
匂いはほとんどありません。味はベーキングパウダー同様に、砂糖のほのかな甘みが感じられる仕上がりでした。
・時間を置いた後の変化:★★★
重曹もほとんど変化はありません。若干硬さが増していた程度ですが、見た目の印象はほぼ変わらないです。
ドライイースト
パン作りでおなじみのドライイースト。種類によって使う前に発酵させる時間が必要なものがあるので注意しましょう。ベーキングパウダーと同量で代用できます。こちらも膨らむので代用はできますが、ふんわりとした蒸しパンというより、ややパンのようなしっかりとした弾力感があり、香りも食パンに近くなりました。
・膨らんだ嵩の高さ:★★★
ベーキングパウダーや重曹ほど高さは出ていません。ふんわりというより、ずっしりした印象です。
・断面の基本のでき方:★★★
重曹同様、中身がしっかり詰まっています。手で押してもしっかり跳ね返ってくる弾力です。
・匂い、味:★★★★
食パンのような小麦の香りがします。味も蒸しパンというより、パンそのものを食べているようでした。
・時間を置いた後の変化:★★★
蒸し立てより少し硬くなっていますが、形状に差は見られませんでした。
ホットケーキミックス
ホットケーキミックスはベーキングパウダーの代用というより、生地そのものに対しての代用になるので薄力粉の変わりに使えます。また、原材料にベーキングパウダーも含まれているので生地に代用しても膨らませることができます。そのため、薄力粉の量で代用しましょう。
・膨らんだ嵩の高さ:★★★★★
ベーキングパウダーと見た目の違いはほぼありません。弾力は少しだけホットケーキミックスの方がありますが、これもベーキングパウダーと僅差です。
・断面の基本のでき方:★★★★
ベーキングパウダーより少し中が詰まってい印象ですが、断面の様子もほぼ変わりがないです。ふんわりとした印象が断面からも感じられます。
・匂い、味:★★★★★
ホットケーキを焼いた時のような香りがします。ホットケーキミックスを使用した場合は、この特有の香りになります。
・時間を置いた後の変化:★★★★
時間による変化はほぼ見られませんでした。
代用できるけど向いてないもの
ベーキングパウダーの代用として使用可能ですが、今回検証した蒸しパンには向いてなかったものを紹介します。
炭酸水
ベーキングパウダーや重曹は炭酸ガスによって膨らみます。なので、そのまま炭酸水を使用しても膨らむという原理で代用可能です。使用する場合は牛乳などレシピ内の水分になるものと同等量になるよう置き換えましょう。また、代用においては蒸しパンより水分量が多いホットケーキで使用するのが向いています。炭酸ガスによって生地が膨らむので、炭酸水の量を多く使用するものに使う方がより膨らみます。
・膨らんだ嵩の高さ:★
ふんわりさはなく、高さもほぼありません。
・断面の基本のでき方:★
断面を見ても高さがあまりなく、中は生地がそのまま固まったような見た目です。
・匂い、味:★
匂いはほぼなく、味もほとんど感じられませんでした。生地そのものの味がほのかにした程度です。
・時間を置いた後の変化:★
高さはあまり変化がありませんでしたが、どんどん硬さが増しました。
卵白(メレンゲ)
卵白もベーキングパウダーの代用として使用可能です。卵白のふわっとした泡で生地を膨らませるので、卵白1個分をしっかり泡立て、泡が消えないように生地に混ぜましょう。実は卵白は、オーブンなどの高熱で焼くクッキーやパウンドケーキで使用する方がより泡が凝固して崩れにくいのです。さくさくとした食感も楽しめるので、焼き菓子などで代用してみてください。
・膨らんだ嵩の高さ:★★
炭酸水より膨らみましたが、一般的にイメージされる蒸しパンほどの高さがでませんでした。
・断面の基本のでき方:★★
中が生地で詰まっており、空気があまり入っていません。
・匂い、味:★
匂いは無味無臭です。味はかなり素朴で、生地本来の味がします。
・時間を置いた後の変化:★
蒸したてから時間をおくと少し萎みました。
代用品の結果まとめ
もしフワフワ感が欲しいなら重曹かホットケーキミックスを使うのが良さそうですね。
炭酸やメレンゲはもしかしたら使えるかも・・・と思ってしまいがちですが、基本的にはやめておきましょう。
配信: トクバイニュース