同品は、オートミール(オーツ麦)を30%の配合率で生地に練り込むことで製品100g当たりのタンパク質含有量は16.2g以上と栄養強調表示が可能で、食物繊維も2.8g含んだ、タンパク質と食物繊維をバランスよく摂取できる乾麺だ。
原材料は小麦粉、オーツ麦、小麦タンパク、食塩のみで、添加物は不使用。90度C以上の高温でこねる湯捏(ゆごね)製法と、通常の4倍の24時間熟成乾燥製法などの同社こだわりの製法で、小麦のうまみともちもち感が出るように工夫を凝らし、さらに丸刃で滑らかな食感に仕上げた。価格は1袋(100g入り)400円(税抜き)。
オートミールを配合したのは、渋沢が好物だったから。「いつのころからかはっきりしないが、オートミールは毎日食べるようになった。オートミールは大変うまい。あっさりしていて、あれを食べないと食事をしたような気がしないね」という本人の言葉が残っているほどだ。
渋沢は「青天を衝け」の主人公であり、生涯500社以上の企業の創設や経営に関わったことから日本資本主義の父ともいわれる。そして2024年からの新1万円札の顔となることが決まっており、注目度急上昇の偉人だ。生まれは埼玉県深谷市だが、壮年から終焉までを北区(飛鳥山)で過ごし、北区とのゆかりが深い。
玉川食品は、これまでコンビニとの共同開発でプロテインを配合した乾麺の開発。サンリオ、バンダイなどの異業種とのコラボで「キティランド」や「ガンダムカフェ」などにキャラクターに合わせたエンタメ性のある乾麺の開発などにより、独自の市場を開拓してきた。しかし、コロナ禍により、インバウンドや土産物市場は消失してしまった。
「家庭用の乾麺は好調だが、当社がメーンとしている業務用は壊滅的。何か新しいことを、と考えている時に東京北区渋沢栄一プロジェクトの話があった。異業種コラボなどで培ったノウハウを生かし、渋沢栄一翁のイノベーションの精神にも合致した当社のこれまでの取組みの集大成といえる商品が開発できた。すでにいくつか案件も決まっている」と関根康弘社長は新商品の手応えを語る。
ターゲットは、北区などの渋沢ゆかりの地の観光施設の土産物や企業のギフト需要。また、乾麺は麺線の長さを調整でき、ゆで時間で麺の軟らかさも調整できることと、新商品はタンパク質、食物繊維がバランスよく摂取できることから学校給食や高齢者施設などの業務用ルートへの拡販も進める。業務用としてはパッケージを省くことで、価格を抑えて販売する。
◇日本食糧新聞の2021年2月15日号の記事を転載しました。
配信: たべぷろ
関連記事: