2人目不妊や産後セックスレスに悩む夫婦がいる一方で、子どもがまだまだ手がかかる時期にうっかり想定外の妊娠をしてしまい、慌てふためくケースは意外とあるもの。その結果、なかにはさまざまな事情から中絶という選択肢をとる夫婦もいるかもしれない。
厚生労働省による統計資料「平成25年度衛生行政 報告例 の概況」内の「人工妊娠中絶件数及び実施率の年次推移」によると、中絶実施率の高い年代は次のようになっている。
1位 20~24歳 4万0268人
2位 25~29歳 3万7999人
3位 30~34歳 3万6757人
4位 35~39歳 3万4115人
5位 20歳未満 1万9359人
1位は20代前半だが、2位以下の20代後半、30代前半、30代後半の実施率はほぼ同程度と意外高い。この背景にはどんな事情があるのだろう? 女性医療機関として都内でも評判が高い水口病院の塚田清二院長、疋田裕美医師に話を聞いた。
●出産の中心ゾーンが30代へシフトした
「日本は海外と比較すると婚外子が少なく、妊娠と結婚が相関関係にあります。同年の平均初婚年齢は妻29.3歳、第一子出産時の母の平気年齢は30.3歳であることからも、30代は未婚と既婚がまだ混在する年代かと思われます」(疋田医師)
これは、かつては20代だった結婚・出産の中心ゾーンが、30代にシフトしたことの表れでもある。つまり、30代の中絶を選ぶ女性は、必ずしも既婚のママ層だけではないようだ。
「妊娠をきっかけに結婚する方は、以前と比較すると増加している印象を受けます。しかし、依然として未婚で中絶を選択する方のほうが多いといえるでしょう」(疋田医師)
●中絶そのものは減少しているが…
だが幸いというべきか、中絶件数自体はここ数年、どの年代もずっと減り続けているそうだ。
「中絶件数の推移は一貫して減少傾向にあります。また、出生数と比較しても現在の出産ピークは30代であり、妊娠した場合、中絶よりも出産を選択する人が多い世代なのではないでしょうか」(疋田医師)
一方で、次のような残念な事実も見受けられるという。
「30代以上で中絶を選択する女性のなかには、過去に何度かの中絶経験があり、中絶への抵抗感が薄い方も少なからずいる印象を受けます」(塚田院長)
「子どもは天からの授かりもの」という言葉もあるが、バースコントロールを行うのは責任ある大人として当然のこと。中絶という悲しい選択をしないためにも、避妊についてはパートナーとしっかり話しあっておこう。
(阿部花恵+ノオト)
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