男性の性欲ピークが20歳前後といわれるのとは対称的に、女性の性欲のピークは30代から40代という説もあるが、実際のところはどうなのだろう?
女性ホルモンがもたらす影響について、女性医療機関として都内でも評判が高い水口病院の塚田清二院長、疋田裕美医師に話を聞いた。
●性欲とホルモンはどこまで関係している?
「代表的な女性ホルモンのひとつである血中エストロゲンは10代の初経後に急上昇し、20代から30代にかけて高い値を示します。その後、30代後半から低下傾向を示し、40代後半に入ると著しく低下していきます」(塚田院長 以下同)
エストロゲンとは卵胞から分泌される女性ホルモンのこと。別名「卵胞ホルモン」とも呼ばれ、子宮や膣、乳房などに働きかけ、妊娠しやすい体を作るホルモンだ。
豊かな乳房や丸みを帯びたお尻など、女性特有のなだらかな体のラインは、エストロゲンの働きがあってこそ作られるもの。エストロゲンは生理の終盤から分泌量が増え、排卵直前にピークを迎える。このエストロゲンの影響で性欲が高まるという俗説もあるが…。
「ホルモンの分泌量は個体差が大きく、またエストロゲンが性欲に直結しているとも言い切れないため、コメントできません」とのこと。
そもそも人間の性欲は、ホルモンだけに起因するものではない。脳の働きやパートナーとの関係性、心身のコンディションなど、さまざまな要因が関係してくるため、ホルモンが分泌されていれば性欲が高まる、という単純な話でもないようだ。
●女性ホルモンは月ごとの変動が大きい
ただし、エストロゲンともうひとつの女性ホルモンであるプロゲステロンが分泌されている限りは、40代、50代になっても妊娠の可能性はあるということ。「もうアラフォーだから避妊なんかしなくても大丈夫」と高をくくっていると、想定外の妊娠という事態を招いてしまうこともある。閉経を迎えるまでは、いくつになっても避妊にはくれぐれも慎重に。
性欲のピークはさておき、いずれにせよ女性は一生を通じて女性ホルモンに大きく影響されることは間違いないといえるだろう。
「男性ホルモンが一生を通じてゆるやかに変化していくのに対して、女性ホルモンは月ごと(生理周期)や年代による変動が大きいのが特徴。つまり、女性は年齢を重ねるごとに、月経、妊娠、分娩、そして更年期障害と激しい変化に対応していかなければなりません」
ライフステージごとの女性ホルモンの変化を知っておき、対応する術を身に付けること。それが女性ホルモンとの上手な付き合い方なのかもしれない。
(阿部花恵+ノオト)
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