夫婦げんかの子どもへの悪影響を避けるために、親ができることとは? 恋愛セラピストのあづまやすしさんは言う。
「夫婦げんかを子どもの目の前でするのは、正直、あまりよくないですが、夫婦間の問題をくすぶったままフタしておくのも良くないですよね。ケンカの場面を子どもに見せないようにした結果、風通しの悪い家庭になる危険性もあります」(あづまさん 以下同)
また、ケンカの際に怒りをぶつける場面が悪影響を与えると考える人は多いが、夫が妻を無視し続けている状態も、当然、子どもに気を遣わせたり、心配させたりするものだし、そもそも「ケンカ、無視」といったことよりも、日頃の生活のほうが大切だ。
●怒りをぶつけるよりも、その下にある本当の気持ちを相手に伝える
大切なのは、バランスがとれていることで、心理学で人の性格を5つの心の領域(CP・NP・A・FC・AC)に分ける「エゴグラム」が役立つという。
「CPは道徳やルール、正義感、NPは優しさや寛容性、母性で、Aは大人度、FCは直感力や創造力、楽しさ、ACは協調性、忍耐力などです。これらはバランスがとれているのが理想的ですが、特に大人は、自分の欲求をそのまま表に出すFCが高い子どもと一緒にいるとき、FCを発揮しにくくなることがあるのです」
特に育児中のお母さんは、自分自身が楽しいと思う瞬間、笑う瞬間がないとバランスが保てなくなるという。そのバランスを整えるためには、お母さん自身が育児・家事を離れた自分の時間を持つこと、趣味などを楽しむ時間を作ること。それには夫の協力も不可欠だ。
また、ケンカになるとき、怒りでコミュニケーションをとることで、その下にある自分の素直な気持ちに気づくトレーニングが必要だそう。
「例えば、外出時に食事の支度をダンナさんに頼んでいたとします。帰宅したら、自分が思うようにできていないと、『なんでやってくれないの?』と怒り、『いや、やったよ』と反論・逆ギレされ、ケンカになる。でも、本当の気持ちは怒りよりも、『疲れているのに、結局、私がやらなきゃいけないんだ』とガッカリした気持ち、落胆ではないでしょうか」
本当の気持ちが「悲しい」「寂しい」「落胆」であっても、積み重なると鈍感になって、本当の気持ちに気づかなくなる。それがニセの感情「怒り」に化けることで、ケンカにつながるそう。
「怒るのではなく、『疲れてるのに、ガッカリしちゃった』『悲しい』と伝えると、相手も『悪かった』と思うものですよ」
子どもに夫婦げんかの場面を見せないことを考えるよりも、まず日頃の生活を振り返ること。そして、大人も「楽しい」「悲しい」「寂しい」などの感情が素直に出せるようにすることが、育児において大切なのかも。
(田幸和歌子+ノオト)