「男性の薄毛の99%は遺伝的な要因で起こります。ストレスで円形脱毛症が起こることもありますが、非常にまれなケースです。この男性型脱毛症は別名『AGA』ともいい、受診に来られる患者さんの80%以上が20~40歳の男性になります。結婚したあと、夫がいわゆる若ハゲになって、驚かれる奥さまは少なくないようですね」
薄毛の原因は遺伝とほぼ決まっているので、食事やマッサージをするなど家庭で対処しようとしても効果はないそうだ。では、夫の薄毛を改善させることはできないの?
●男性が薄毛になるメカニズムとその対処法
「男性の薄毛はプロペシアという治療薬を飲めば、ある程度は止められます。男性型脱毛症AGAは、身体のなかにある男性ホルモン『テストステロン』がDHTという悪玉男性ホルモンに変換することで起こります。髪の毛の成長には周期があり、毛の生え変わりは通常6~7年で起こります。DHTの作用が強くなると、この周期が短くなります。すると、細く短い毛髪になり、抜けやすくもなります。太くて長い毛がないと地肌が出てくるため、薄毛になるのです」
薄毛治療薬プロペシアの費用は、ジェネリックで月7000~8000円のところが多いそう。ちなみに、薬には副作用はあるのだろうか?
「2、3%の割合で性欲の減退が起こります。ですが起こる方の大半は高齢者で、若い方にはあまり見られません。副作用については心配しなくていいと思います」
クリニックに訪れる患者のなかには、妻に「部屋に抜け毛が落ちて汚い」など、きついことを言われて傷ついている人もいるそう。薄毛で悩む多くの男性を診てきた佐藤医師は、「デリケートな問題なので、奥さまは優しく見守ってあげてほしいですね」と話す。
夫の薄毛の進行は、皮膚科の診察を受け処方された薬を飲むことで止められる。治療は早いほうが改善しやすいため、地肌が見える前に受診してほしいそうだ。もし夫が薄毛に困っていたら、専門医にかかることを勧めてあげよう。
(ノオト+石水典子)