●満足感が得られず、幼い姿を作り出すように…
「子どもは、親や周囲の大人たちの影響で、様々な姿に変貌を遂げます。まず、すべて子の言いなりになる弱い親の元で育った子どもは、わがままがさらにエスカレートし、なかなか満足感が得られなくなります。大人になって要求が高くなり、親が受け止めきれなくなると、子は満たされなさを感じるようになります。親が何でも言うことを聞くと、“親への依存”や“自立を阻まれる”という事態も引き起こし、自分でするべき身の周りのことをしようとしなかったり、経験不足から、何も自分でできない“幼い姿”も作り出されてしまいます。また、何か新しいことや外の世界に取り組もうとする意欲を持たないまま、大人になってしまうことも。さらには、物事がうまくいかないことを“他者のせい”と考える傾向も強まります」(須賀氏 以下同)
“王様子ども”と真逆の場合も、子どもが偏った人格に形成されることがあると警告する。
「言いなりになる親と対照的に、強すぎる親の場合、今度は子どもに、反動や萎縮が見られるようになります。細かいことで、子どもを怒ったり叱ったり、多くのダメ出しをすることで押さえつけると、その過干渉が、子に様々なネガティブを生み出すのです。“反抗して大人の言うことを聞かない”、“強く怒られたとしても何度も同じことを繰り返す”、“怖い人の前以外では従わない態度を取る”、“押さえつけられているストレスを他者へぶつける”といった子どもの姿に発展させてしまうこともあります」
こういった、親の強い過干渉から生まれる反動を外に向けない子どもは、自分の内側に溜め込み、萎縮してしまうという。
「親の指示通り、主張せずに育ってきた子どもたちは、自分に自信が持てず、自己肯定感が欠如していきます。自分の気持ちを押し殺し、大人の意に沿うように我慢して生きてきたので、”生きづらさ”を感じることも。こちらもまた、“王様子ども”と同様に、行動面だけでなく、感情のコントロールや物事に取り組む力など、精神面でも大人に頼らなければ生きていけなくなってしまう。試練を自分で乗り越える力が弱くなり、引きこもりや不登校になるケースもあります。親の過干渉という意味では、“王様子ども”も“押さえつける親”も、同じような子のネガティブを生む危険をはらんでいるのです」
「過干渉しない」「何事もあいまいにしない」「1のことに10援助しない」「甘えと甘やかしを混同しない!」…親が4つの“しない”を心がければ、きっと子どもたちは健やかに育つ!
(取材・文/蓮池由美子)