出生前診断ってどこでできる?

第2回 出生前診断ってどんなもの?
赤ちゃんの病気や染色体異常を探る「出生前診断」。2013年には、母体の血液検査だけで胎児の染色体異常を調べられる「新型出生前検査(NIPT)」の臨床研究がスタートしました。さまざまな検査方法がある「出生前診断」ですが、どの産婦人科やクリニックでも希望すれば受診できるのでしょうか?

●病院やクリニックによってできる検査が異なる

「検査の種類によってはかかりつけのクリニックで受けられない検査もあります」と話すのは、出生前診断に詳しい、東京マザーズクリニックの林聡院長。

「胎児の首の後ろ側のむくみ『NT』の厚さから異常や病気を見つけ出す検査や、妊婦さんの血液からダウン症などの確率を算出する『クアトロテスト』は、実施されているクリニックは多いです。一方、『新出生前検査』となると、実施している病院はさらに少なくなります。しかしこれらはあくまでも疑いがあるかどうか知る検査であって、陽性と断定するための『羊水検査』や『絨毛(じゅうもう)検査』といったものなると、専門性の高いクリニックで行われるため、場合によってはかかりつけではない産婦人科を受診する必要があります」

医師によっては、出生前診断を積極的に勧める人もいれば、インフォメーションをしてくれない人もいるとか。そのため、胎児異常のリスクが高まる高齢の妊婦さんはとくに、自らネットなどで調べて能動的に受診に訪れるそう。

出生前診断ってどこでできる?

●検査する場所を選ぶときに気をつけたいこととは?

検査を受けるにあたっては信頼できる医師にお願いしたいもの。出生前診断を受診するクリニックを選ぶにあたっては、何を参考にすればいいのでしょうか。

「クリニックのホームページなどで、医師の経歴についてあらかじめ調べておくといいかもしれません。たとえば、胎児の病気を専門にしているか、ライフワークとして出生前診断をメインにしてやっていたか、超音波検査や遺伝のカウンセリングの資格を持っているかどうか、というのはひとつの参考になると思います」

検査方法は増えているものの、トータルで実施しているクリニックはまだ少数。安心して検査を任せられるクリニックに出会うためにも、事前のリサーチはしっかり行いたいところです。

(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)

お話をお聞きした人

林 聡
東京マザーズクリニック 院長
出生前診断、胎児治療を専門。フィラデルフィアこども病院で出生前診断、胎児治療を研修後、国立成育医療研究センター胎児診療科医長を歴任後、2012年よりクリニック開院
出生前診断、胎児治療を専門。フィラデルフィアこども病院で出生前診断、胎児治療を研修後、国立成育医療研究センター胎児診療科医長を歴任後、2012年よりクリニック開院

出生前診断を考える書籍

http://books.rakuten.co.jp/rb/13180493/
『出生前診断 出産ジャーナリストが見つめた現状と未来 (朝日新書)』
河合蘭
http://books.rakuten.co.jp/rb/13118425/
『不妊治療と出生前診断 温かな手で (講談社文庫)』
信濃毎日新聞社
810円
晩婚化に伴い、激増する不妊治療の実態と、これに並行して進化を続ける出生前診断の実情を取材。技術が進歩し選択肢が増えたことで、より悩みを深める夫婦や家族、医療者らの姿を描き、大きな反響を呼んだ。信濃毎日新聞に連載され、「新聞協会賞」を受賞した傑作ルポ、待望の書籍化!
晩婚化に伴い、激増する不妊治療の実態と、これに並行して進化を続ける出生前診断の実情を取材。技術が進歩し選択肢が増えたことで、より悩みを深める夫婦や家族、医療者らの姿を描き、大きな反響を呼んだ。信濃毎日新聞に連載され、「新聞協会賞」を受賞した傑作ルポ、待望の書籍化!

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