●あなたの夫は? 恐ろしい感染症
精液にウイルスが含まれることがあり、性交渉を通じて感染するものとしては、HIV以外だと、B型肝炎ウイルス(以下、HBV)、C型肝炎ウイルス(以下、HCV)などがある。HBVは将来、肝炎や肝硬変を引き起こす可能性があり、HCVは感染者の50~80%が慢性肝炎になるという恐ろしいウイルス。慢性C型肝炎はその後一定の割合で、肝硬変、肝臓がんへと進行することで知られている。
●生まれてくる赤ちゃんへの影響も甚大
さらに、キャリア本人への症状が現れなくても、夫から妻、そして胎児へと二次・三次感染し、生まれてくる赤ちゃんに後遺症を生じさせるウイルスもある。それが、サイトメガロウイルス(以下、CMV)と呼ばれるものだ。これに胎児が感染すると、無事に生まれてきた場合でも様々な障害などの後遺症が出る可能性がある。
さらに、男性は35歳を境に精子の力が落ち、統合失調症や自閉症の子どもが増えるというデータもあるようだ。こうした場合、とかく妻側に原因があると思われがちだが、もしかしたら夫側の問題かもしれない。妊娠前に夫婦それぞれが検査を受けることが望ましいだろう。
●女性の12パーセントは精液アレルギー?
また、男性側に問題がなくても、女性のなかには後天的に「精液アレルギー」になる人もいて、性交渉を行うことで命にかかわる場合も。英マンチェスター・メトロポリタン大学のマイケル・キャロル医師によれば、12%の女性が精液アレルギーで、無自覚の該当者も含めればさらにその数は膨らむという。なお、重症者が多いのは20~30代の女性なのだとか。
精液アレルギーは重症化すると、精液にふれただけで肌が荒れ、呼吸困難などを引き起こすこともある。後天的に発症することもあるだけに、もし異変を感じたらすぐに診察を受けたいところだ。
(文・前田智行)