ぷりっとして濃厚な味わいが魅力的な牡蠣。栄養価も高く、嬉しいことがたくさんありますが、なんとなく「牡蠣はあたるから怖い!」と思われている方も多いのではないでしょうか?今回は、牡蠣があたってしまう原因と、その症状を合わせてご紹介します。あたらないように安全に食べるにはどうしたらよいのかについても解説しているので、参考にしてください!
牡蠣にあたったらどうなるの?原因と症状を解説
牡蠣にあたると腹痛や吐き気などの症状が出てとても苦しいというイメージがあるという方も多いのではないでしょうか。
では、実際にあたった状態とはどんなことを指しているのでしょうか?
症状の原因は主に4つあるとされています。
以下ではそれぞれの原因と、発症内容、感染の可能性などを紹介します。
ノロウィルスによる症状
ノロウイルスは冬場によく耳にする、食中毒の原因となるウイルスです。
実は「牡蠣にあたる」という症状はそのほとんどがノロウイルスによるものです。
本来牡蠣のような二枚貝の貝類は、ノロウイルスを体内に保有していません。また牡蠣の体内でノロウイルスが増殖する、ということもありません。
それなのに、牡蠣を食べて食中毒にあたるのはなぜでしょうか。
それは、ノロウイルス感染者の排泄物に含まれるウイルスが下水処理でも死滅せず、わずかに残ったものが川や海に流れて牡蠣の体内に蓄積されるからです。結果、それを食べることでノロウイルスによる牡蠣の食中毒として「牡蠣にあたる」症状が現れます。
そのため、ノロウイルスを持った人の排泄物や触れたものなどを十分に処理・消毒しないとうつる可能性が十分あるので気をつけましょう。
症状
ノロウイルスの症状として現れるのは、嘔吐や激しい下痢・腹痛などです。時には発熱するケースもあり、幼児や体の抵抗力が落ちている方は症状が重くなることもあります。
食べてからどのくらいで症状がでるのか
食後、1日〜2日の内に症状が現れます。ノロウイルスは少量でも体内に入ると増殖し、共同生活を送っている家庭内や学校、施設などで流行することが多い感染力のあるウイルスです。
あたりやすい時期
ノロウイルスは1〜2月がピークのウイルス。ちょうどその時期に牡蠣も旬を迎え、発症する人が多くなります。
参照:ノロウイルス(ウイルス) [Norovirus]:農林水産省
腸炎ビブリオによる症状
腸炎ビブリオは感染性胃腸炎の原因となる菌の一つ。水温が上がる夏場に感染者が増えますが、冬場でも感染するケースは十分にあります。
腸炎ビブリオの主な感染要因は、魚介類や寿司を食したり、調理器具やまな板を介した二次汚染です。特に生のまま魚介類を調理した際には、しっかりと調理器具を消毒することが大切になります。
症状
腸炎ビブリオに感染した時の症状として現れるのは、耐え難いような腹痛や下痢です。時には血便になることも……。
下痢の回数も日に数回〜数十回と続き、その他に嘔吐や吐き気、発熱もします。
食べてからどのくらいで症状がでるのか
食後12時間程度、早い時だと食後2〜3時間で症状が現れます。その後、下痢の症状は1両日中には軽減されますが、過去には高齢者の方で心電図異常や低血圧などがみられ死に至ったケースもあるので甘く見ないよう、症状が落ち着いても病院で診てもらいましょう。
参照:国立感染症研究所/食中毒を起こす微生物 腸炎ビブリオ|「食品衛生の窓」東京都福祉保健局
あたりやすい時期
特にあたりやすくなるのは海水の温度が上がる夏場。発生時期は5〜6月ですが、ピークは7〜9月になります。
ただし、原因としては生食の調理時による細菌の処理不足になるので稀に冬場でも見られます。
貝毒による症状
貝毒は毒をもったプランクトンを貝類が食することで、体内に毒素を蓄積させる現象になります。
貝類自身が毒を作り出すことはないので、その蓄積された毒素を食すことで「あたる」という症状として現れます。
症状
主に麻痺性と下痢性の2つのパターンがあります。麻痺性貝毒の場合、顔面や唇、手足の末端のしびれ、めまい、頭痛などが見られます。
下痢性貝毒の場合は吐き気、下痢、嘔吐などです。
参照:貝毒はどのようなものですか。貝を食べても大丈夫ですか。:農林水産省
食べてからどのくらいで症状がでるのか
麻痺性貝毒の場合は、食後約30分程度で唇など痺れの症状が現れます。重症のケースでは、体全体が思うように動かなくなることもあり、最悪の場合には12時間内に呼吸困難になるなど重症化することもあります。下痢性貝毒は、食後30分〜4時間内に下痢などの症状がでますが約3日ほどで回復します。
あたりやすい時期
毒性を持ったプランクトンが発生する4〜5月に多く見られます。海水の温度が上がりやすい時期で、腸炎ビブリオとほぼ似た時期に現れます。
アレルギーによる症状
牡蠣にあたった際にアレルギー症状がでる場合は、牡蠣アレルギーによる影響です。
これは牡蠣そのものはもちろん、オイスターソースなど牡蠣が含まれている食品を口に含んだ場合も該当します。
症状
牡蠣アレルギーの場合は、腹痛や下痢のほか蕁麻疹、体に発疹が起こるのも特徴です。
また、アレルギーが酷い場合はアナフィラキシーショックといって意識障害が出るなど命の危険にさらされるケースもあります。牡蠣を食べると体調がすぐれない方は早めに病院で受診しておくことをおすすめします。
食べてからどのくらいで症状がでるのか
食中毒系との違いは症状が出る早さです。ノロウイルスや腸炎ビブリオが約1日程度の潜伏期間があるのに対し、牡蠣アレルギーは食後1〜2時間程度で現れます。
あたりやすい時期
牡蠣アレルギーは、食物アレルギーになるので時期よりもアレルギー症状を持った人が食すことで発症します。不安な方は病院でアレルギー検査をして、自分が該当しているかどうか調べておきましょう。
https://www.maff.go.jp/j/jas/hyoji/pdf/shitte_okitai3.pdf
牡蠣にあたる確率
牡蠣にあたる確率を具体的な数字で算出するのは難しいです。
ただ、ノロウイルスに関しては、令和元年において発症した患者のうち魚介類が原因だった方は約2.6%になります。
その中から原因を牡蠣に絞ると、より確率が低くなると考えられます。ただし、ノロウイルスの増殖が多い冬場や食中毒の原因になる毒素を持ったプランクトンが増える夏場に生で食べる際は、比較的あたりやすいといえるでしょう。
配信: トクバイニュース