介護の情報サイト『親ケア.com』を運営する横井孝治さんによると、自分の仕事や子どもを口実にして、きょうだい間で介護の押し付けあいが起きることも珍しくないという。
「手伝わない人ほど、『何かあったら言ってくれ』と言います。でも、これはタブー中のタブーの言葉。手伝う気があれば『病院の送り迎えは、自分がやる』など、具体的に言うはずです。親を心配しているようで、何もしていません。このような人の心中は、世話になった親だけど、なるべく自分が介護するのは避けたい、というのが本音です」(横井さん 以下同)
●親の介護について話すとしたら、ベストタイミングは?
親の介護は、話し合っておくべき話題とはいえ、少々気をつかうテーマだ。親やきょうだいと話すきっかけは、どのように作っていったらいいだろうか?
「お正月で家族や親戚が集まったときに話すのがいいでしょう。『お父さんとお母さんが介護になったらどうする?』と単刀直入に切り出します。『ふたりにはいつまでも元気でいてほしいけど、5年10年という長いスパンで見たら、病気になることも考えられるよね。いざというときに慌てるのは困るし、お父さんやお母さんがいやだと思うことをしたくないから、考えておこうよ』と、提案するのが良いでしょう」
●介護だけでなく相続についても話し合おう
横井さんによると、親がいるときに話をするほうがいいものと、きょうだい間で話した方がいいものがあるのだとか。
「遺産の分配について親の前で話すのは、避けたほうがいいですよね。ただ、避けては通れないテーマです。介護に時間を取られれば仕事にも影響があるため、介護をがんばった人が遺産は多くもらえるべきです。ですが、話し合いが済んでいないと必ずと言っていいほど遺産相続のときにもめます。当然、介護を行った人に不満が残りますよね」
●普段からの親とのコミュニケーションが大切
また、親が要介護になった場合、「される側」と「する側」の上下関係になりがち。日頃から親とコミュニケーションを取り、良好な関係を保つことを心がけよう。会話の内容から、認知症やアルツハイマーなど発症したときに親の異変に気づける、という利点もある。
親の老後のためにも、介護をどうするかは家族やきょうだい間、夫婦で共有しておきたいもの。いざというとき、関係にひびが入らないように、しっかりと話合いをしておこう。
(石水典子+ノオト)