ペットから子どもへ、キケンな病原菌○○とは?

第3回 ペットと子どもの気になるカンケイ
ペットを飼育するにあたり、気になるのが病原菌。人間に感染させないためにも、ノミや寄生虫などへの対策が必要です。とくに、小さい子どもは免疫力も弱いため、育児中の家庭にとっては無視できない問題です。

●寄生虫の感染で視力低下の可能性も

では、具体的には、どのような感染リスクがあるのでしょうか? 国内でも飼育数が多い犬と猫に絞り、にほんまつ動物病院の二本松院長に聞きました。

「まず気をつけないといけないのは、寄生虫の一種である『回虫』です。回虫は母犬、母猫の胎盤や授乳を通じて、子犬、子猫に感染してしまいます。お腹のなかにいる回虫の成虫は駆除できますが、幼虫は皮膚や筋肉のなかに潜んでおり、その状態の虫は駆除できません。人間に感染すると、幼虫移行症により眼球に移動してきて視力障害の原因になることも。そのため、回虫の検査をしておき、必要に応じて定期的に駆除をする必要があります」(二本松院長、以下同)

回虫の卵は糞と一緒に排出され、2~3週間経つと感染力を持つようになるそう。ただ、定期的に薬を使っていれば、感染は防止できます。

子どもに悪影響なペットの飼い方

●過度な触れ合いは要注意

また、気をつけたいのは、ペットに口を舐めさせることと、爪で引っかかれてしまうこと。

「よくペットに自分の口を舐めさせている人がいますが、あまりよくないですね。犬猫の口のなかには、歯周病菌をはじめとするバイ菌が潜んでいますので、とくに小さいお子さんは、口を舐めさせないように日頃から注意しておくことが大切です。また、『猫ひっかき病』というのもあって、病原菌がついた爪で引っかれたり、噛まれたりすると、発熱したり、リンパが腫れてしまうということがあります。ノミが病原菌の媒介をしますので、定期的に駆除するように心がけましょう」

しっかり対処をしておけば、感染のリスクを下げることができます。病原菌の存在を踏まえたうえで、過度な接し方をしないよう子どもにはしっかり言い聞かせた方が良さそうです。

(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)

お話をお聞きした人

二本松昭宏
にほんまつ動物病院 院長
京都府福知山出身。‘97年、北里大学獣医畜産学部卒。兵庫などで代診ののち、地元福知山に戻り開業。福知山市動物園の動物も診察している。
京都府福知山出身。‘97年、北里大学獣医畜産学部卒。兵庫などで代診ののち、地元福知山に戻り開業。福知山市動物園の動物も診察している。