3月10日に開催した1回目の教室では、鳥栖工場に加えて研究開発本部担当者も参加し、育児の際の食についてさまざまな質問に回答した。コロナ禍で激変した育児環境での不安・負担解消に向け、自宅から直接参加できるなどのメリットもあり、新たな取組みとして期待が高まっている。
コロナ下では、子育て中の家族は外出を控える傾向にあり、特に初めて子どもを授かった家族は産院での調乳指導や集団検診の休止などで、同じ環境の仲間同士との交流機会がほぼなくなっているのが現状だ。そこで同社はベビーフードメーカーとして離乳食期からの食にまつわる不安と負担を解消し、親子のコミュニケーションを増やしたい目的で、オンラインでの離乳食教室に着手。これまで研究開発本部と鳥栖工場で従業員向けや、包括連携協定を結ぶ渋谷区と共同で同区民を対象にしたものなど、回数を経てきた。
オンライン離乳教室は、Web会議サービスを利用し、鳥栖工場から配信する。約30分間の予約制プログラムで、ベビーフードの製造工程、安全・安心への取組み、離乳食の基本的な話、ベビーフードを使った簡単アレンジレシピなどを紹介。リアルタイムで参加者からの離乳食についての質問や悩み相談にも応えていく。
同社広報・コミュニケーション室で食育を担当する大島紀子氏は、オンラインでの開催は「コロナ禍に関係なくニーズがある」と指摘。自宅で授乳やおむつ替えをしながら気軽に参加することができることに加え、男性も参加しやすさが増したことで、「今後も参加のハードルが下がっていくはず」と分析する。
オンラインで直接製造拠点と消費者との接点が生まれることで、従業員サイドにもポジティブな効果が生まれている。10日の教室を担当した鳥栖工場の山川華奈氏は、「製造現場からだと、どのような人が買ってくれているかがなかなか分からない。参加者の生の声を聞くことで、モチベーションアップにつながっている」と手応えを語った。
同工場の西郷遥香氏は「安全・安心な品質を作っていることと、従業員の製造に対する思いを全国に発信していきたい」と、双方向の対話で生まれるプラス面を強調した。
今後はよりコミュニケーションをとりやすく図るなど、オンラインでの課題に対して工夫を重ね、育児不安・負担の解消を進めていきたい考えだ。
◇日本食糧新聞の2021年3月24日号の記事を転載しました。
配信: たべぷろ
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