ところで、気になるのは、日本性教育協会「青少年の性行動全国調査」によると、男子が初めて射精を経験する年齢が遅くなっている傾向があるということだ。
異性の家族と一緒に入浴することで、性の目覚めが遅れるという説もあるけど、それって本当?
「確かに今は、母と子のラインが淡くなっていて、いつまでも一緒という親子が増えています。また、お母さんと仲の良い子は、性の目覚めが遅い傾向もあります」と話すのは、精神科医で町沢メンタルクリニック院長の町沢静夫先生。
普通は性に目覚めると、子どものほうから親と距離を置くようになり、風呂にも自然に一緒に入らなくなるという。
「一般的には、性の成熟は年々加速しつつあります。栄養状態が良いことや周囲に性的刺激(情報)が増えていることなどが原因です。しかし、家庭では親から嫌な顔をされる・禁止されるなどの性的刺激の抑制があり、性の目覚めが遅い、興味を持たない人も少なからずいるのです」(町沢先生 以下同)
●自立の遅れや共依存の可能性も?
でも、そもそも性の目覚めが遅くなると、何か問題があるのだろうか。
「性の目覚めが遅いと、子どもが親からなかなか離れず、自立しない危険性があります。母親にも『ダンナはいらない。息子さえいれば良い』という人がいますよね? これは親子の共依存になります。親子仲が良すぎて、結婚したがらないケースもあります」
一般的には、異性の親子は何歳くらいから入浴を別にするべきなのか。
「男の子がお母さんと一緒に入浴するのは、小3くらいまでですね。そのくらいの年齢になると、母親に温泉や銭湯の女湯に連れて行かれ、嫌な思いをしたという男性も多いのでは? 女の子はもっと早くから父親を嫌がることも多いと思います」
今は親子でべったり仲良しの家庭も多いが、子どもの自立を考えると問題もあるそう。
「男の子と母親、女の子と父親が、あるときから距離をとるのは、当然のこと。それは性のタブーがあるからです。ですから、あまりに親子の仲が良すぎる場合には、まずは入浴から別にしてみるのも良いのでは?」
親にとってはいつまでも幼くかわいいわが子でも、大人になるべき時を考え、適切な距離をとることが大切なのかも。
(田幸和歌子+ノオト)