心配になる気持ちもわかるけど、親がすべてお膳立てしていると、子どもの自立心が育たない気もするし…。親は一体どうすべき?
「友だちと遊ばない子に対して親がすべきことは、お子さんがどういう子なのかをよく理解することです」と言うのは、『子どもの心のコーチング』(PHP研究所)著者で、NPO法人ハートフルコミュニケーション代表理事の菅原裕子さん。
友だちと遊びたいのに、気後れしてしまい、なかなか輪に入れない子がいる一方で、「ワイワイ騒ぐよりも、静かにひとりでいたい子」「精神年齢が高く、周りとなじまない子」などもいる。
「親が子どもの気質を理解せず、先回りして心配したり、『遊びなさい』と言ってセットアップしたりしてしまうと、それが子どもの苦痛になることもあるのです」(菅原さん 以下同)
●アドバイスはNG! 一緒に考えることを
友だちと遊ばない子に対して親がいちばんやってはいけないことは、「追い詰めること」だそう。
「お母さんと子どもは気質が違います。お母さんがワイワイにぎやかなのが好きで、友だちとうまくやれるタイプの場合、それができることが『普通』だと思ってしまい、できないということがわからないのです」
お母さんと子どもの気質が違う場合、特に「友だちと遊びたいけど、うまく輪に入れない」子に対して、お母さんのアドバイスは基本的に役に立たないそう。では、どうしたら?
「まずは子どもと一緒に考えていきましょう。考えていくうちに何か見えてくることがあります。親としてはついアドバイスしたくなりますが、子どもと親は別の気質なので、かえってプレッシャーを与えてしまうことになります。そばに寄り添って話を聞き、一緒に考えていくことで、そのうちに『今日のお昼休み、友だちに声をかけてみる』などと言い出すときがあります。発達段階に応じて言えるようになるタイミングもあります。親が心配しすぎてしまうと、その気持ちが子どもに伝わり、子どもも身構えてしまうので、タイミングを待ちましょう」
親はつい子どものために、「自分がいろいろやってあげなければ」と思ってしまいがちだが、大切なのは、子どもの「今」ばかりを見るのではなく、長い目で見て気持ちを受け止めてあげることだそう。
友だちといえる人が大きくなるまでできない人もいる。また、発達が遅い子もいるし、必ずしも発達が早いほうが良いとわけでもない。
友だちと遊ばない子には、「今」の完璧を求めるのではなく、まず寄り添い、発達を長い目で見守ってあげることが大切なのだ。
(田幸和歌子+ノオト)