最近の青少年に急増する”未熟で危険な性”とは?

第3回 もう悩まない!子どもの包茎
未成年者による痛ましい事件が相次ぎ、かつて某情報番組で、教師免許を持つ武田鉄矢が、「エロスとの遭遇が遅い子はタナトス(死)に惹かれていく。エロスがきちんと訪れないと、タナトスに魅了されて、“死”の方に寄って行ってしまう。これは人間の命の一つの在り方なんです」と持論を展開したことがネット上でも話題に…。自らをコンドーム博士と名乗り、性教育やHIV/AIDS問題にも積極的に向き合う岩室紳也氏も、「思春期男子にとって、マスターベーションは必修科目!」と持論を述べる。

●性欲のセルフコントロールを覚えることは男子の必修科目

「“マスターベーション”って、とてもいい言葉ですよね(笑)。僕は、思春期に自慰行為によって自分の性欲の強さとしっかりと向き合い、セルフコントロールすることをマスターするのは、男子の必修科目だと思っています。しっかりとセルフコントロールできる男の子は、決して好きな女の子に無理強いはしない。単なる射精欲で女性を押し倒すこともしないはずなんです」(岩室氏 以下同)。

イマドキ男子に急増しているある現象に、岩室氏は警告を促す。

「ここ20年くらいの話だと思いますが、手でしごくのではなく、うつ伏せでペニスを床やベッドにこすりつけて射精する男子が増えています。我々の業界では、“床オナ”と呼んでいますが、何かにこすりつけて射精を促す“床オナ”は、即刻禁止すべき射精方法なのです。女性と性交を持った時、“床オナ”に慣れている子は、快感が得られず、膣内でうまく射精できなくなる傾向があります。ですから、私が性教育の講義で訪れた学校の生徒さんたちには、“マスターベーションは必ず手をつかってすること! 床オナはNG!”と教えていますよ」

正しいマスターベーションの仕方

昔はこんな基本的なことを教えずとも、自然と悪い先輩や友だちから教わるのが男子の常だった…と嘆く岩室氏。

「プライドが高く、コミュニケーション能力が低い男子が多くなっていることから、友だちともまるでエッチな話をしないようです。LINEやネットからの情報がすべてなので、生身の体験が少なすぎるんですね。大人も、彼らの2次性徴と正面から向き合えていないし、正しい性欲が育つ環境にないことも一因だと思います。本来、思春期に入った男子たちは、友だちとどんどんエッチな話をして、それが人と人がつながるコミュニケーションにもなるはずなんですよ。 異常犯罪や薬物、性、ネット…僕は、根底にある問題はすべて同じだと思っています。大人たちが”コミュニケーションの大切さ”をうまく伝えることができず、同世代の友だちに依存することが苦手な若者が増加し、彼らを知らずのうちに問題行動へと走らせてしまっているのかもしれない。どうか恥ずかしがらず、カッコつけずに、大人たちの生身の体験を少年たちに伝えてあげて下さい。子どもたちは、生身の体験に飢えています。だから、僕がYoutubeにUPした“コンドーム装着動画”が、580万回以上のアクセスを超える再生回数になってしまうんですよ」

「恥ずかしがり屋のパパとママには、僕の著書をお勧めします!」と笑顔で語る岩室氏。

健全な性を育てることが、日本の未成年の犯罪を食い止めるのかもしれない。
(取材・文/蓮池由美子)

お話をうかがった人

むきむき体操・岩室紳也先生
岩室紳也
ヘルスプロモーション推進センター(オフィスいわむろ)
自治医科大学卒業。へき地医療に従事後、泌尿器科専門医に。自らを“コンドームの達人”と名乗り、思春期の性教育にも積極的に参加。性感染症は性生活習慣病ととらえ、HIV/AIDSの診療も手掛ける。
自治医科大学卒業。へき地医療に従事後、泌尿器科専門医に。自らを“コンドームの達人”と名乗り、思春期の性教育にも積極的に参加。性感染症は性生活習慣病ととらえ、HIV/AIDSの診療も手掛ける。