銀杏の食べ過ぎはなぜNG?その理由を管理栄養士が解説

銀杏の食べ過ぎはなぜNG?その理由を管理栄養士が解説

秋を代表する食材のひとつ、銀杏。独特な香りとホクホク感が特徴の秋の味覚ですが、食べ過ぎには注意が必要といわれています。今回はその理由を解説します。

銀杏を食べるとどんな効能があるの?

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銀杏の独特な味が癖になり、毎年秋になるのが楽しみな方も多いのではないでしょうか。まずはじめに、銀杏の栄養素などについてご紹介します。

【含まれる栄養素】
脂質、糖質、たんぱく質、ビタミンA・B群、ビタミンC、鉄分、カリウムなど。

多くの成分を豊富に含んでおり、栄養価が高いのが特徴です。

【食べた際の効能】
特に体のエネルギーとなる糖質の量が豊富で、昔からスタミナ食として重宝されてきました。
適量であればビタミンB1の働きにより神経の機能を正常に保ち、疲労回復や食欲不振、肩こり、イライラの解消などにつながります。
また、カリウムには体外へ余分な塩分を排出する働きがあるので、利尿作用・高血圧・むくみの改善にも有効とされています。中国では漢方として利用されていたぐらい、健康にも良い食品とされているのです。

このように銀杏は栄養素が豊富で食糧難の戦時中にもよく食べられていましたが、その一方で当時、銀杏の食べ過ぎによる中毒者がよく報告されていたというデータもあります。

食べ過ぎがNGな理由

ここからは銀杏の食べ過ぎが危険な理由やどういう状況だと中毒になりやすいのかを解説します。

ビタミンB6の働きを阻害する

銀杏には「メトキシピリドキシン(4-MPN)」と呼ばれる有毒な成分が含まれています。あまり聞き慣れない成分ですが、大量に食べると脳の神経の情報伝達を助けるビタミンB6の働きを阻害してしまう成分なので注意が必要です。

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阻害してしまうメカニズムは、メトキシピリドキシンとビタミンB6が非常によく似た成分で、本来ビタミンB6が結合する場所にメトキシピリドキシンが結合してしまい、ビタミンB6の働きを邪魔してしまうからというもの。
この成分は熱にも強いために加熱調理してもなくならず、摂取しすぎると中毒が起こると考えられています。
ビタミンB6はかつおやまぐろ、レバー、肉など、比較的多くの食材に含まれていますが、元々ビタミンB6不足なところに銀杏を摂取するとより中毒症状が発症しやすいといわれています。

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ビタミンB6は多くの食品に含まれているため基本的には現代の食生活ではなかなか欠乏することはありません。
ただし、過度な飲酒などが原因で欠乏状態になることもあるため、バランスの良い食事と生活習慣を心がけた上で、銀杏のもつ危険性についても心に留めておきましょう。

生食により食中毒になることも

また、生の銀杏には食中毒症状を引き起こす原因となる「アミグダリン」という成分も含まれています。
アミグダリン自体に毒性はありませんが、人間の体内で分解されることによって中毒症状が起こるものです。
火を通しても前述のメトキシピリドキシンが消えるわけではなく、中毒の危険性が0になる訳ではありませんが、生の銀杏は食べるのはやめましょう。

栄養価が高いので健康食やダイエット食と言われることもありますが、不測の事態を避けるため、秋の味覚として季節を感じながら少量のみ、楽しむのが良いですね。

どんな症状が起きるの?

銀杏を食べすぎることで銀杏内に含まれるメトキシピリドキシンを多く摂取すると、ビタミンB6が欠乏した際と同じ症状が見られます。

銀杏を食べ過ぎた際の具体的症状は以下のとおりです。

嘔吐、吐き気、下痢

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嘔吐、吐き気、下痢などの消化症状が引き起こされます。
特に中毒になると嘔吐する確率は高いよう。
生の銀杏を食べた際も引き起こされる可能性があります。

手足の震え・めまい・ふらつき・痙攣など

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手足の震え、めまい、ふらつき、痙攣などの神経学的な症状が現れます。
これは脳内でグルタミン酸が過剰になり、脳の興奮症状が引き起こされるからと考えられています。

通常、グルタミン酸はビタミンB6の働きでGABAという興奮を抑える成分に変化しますが、銀杏を多く食べた際はこれができず、痙攣などの症状となって身体に現れる、というわけです。

その他の症状

前述の原因物質の影響により、神経や消化症状以外にも顔色の悪化、息苦しくなる、また、発熱や不整脈が出現することもあります。

食べてから発症までは早くて1時間から

症状が出るのは銀杏を食べて1時間〜半日ほど経ってからと個人差が大きいのも特徴です。
半日たって症状が出ると自分でも何が原因か思い当たらないこともあるかもしれません。大量に摂取しないのはもちろんですが、少量でも銀杏を摂取した際は少し気にかけるようにしておきましょう。

症状としては嘔吐、痙攣など複数の症状が見られることが多いですが、それらの症状は多くの場合は24時間以内におさまるとされています。
しかし、年齢に関わらず、症状が重度の場合は死に至ることもあるので食べ過ぎにはくれぐれも注意が必要です。

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