本番に強い子にするために、日々すべきこととは?

第2回 本番に強い子はこう育てる!
人生は、ここ一番! という局面を何度となく乗り越えなければなりません。でも、わが子がいつもできていることが、肝心な本番でできなかったら、なんとかしてやりたいと思うのが親心。では、本番に強い子にするためには、日々どんなことを心がけたらいいのでしょうか? 臨床スポーツ心理学者で、人気番組『ホンマでっか!? TV』でも活躍中の児玉光雄先生にお話を伺いました。

「まず、本番に強い子というのは、目の前のプレーやパフォーマンスにのめり込む集中力があります。そこに集中していることで、ミスや結果など気を取られて余計なプレッシャーを感じることもないわけです。例えばイチロー選手など、トップアスリートの多くはこうしたスキルがズバ抜けているんですね。集中力を高める方法というのはいろいろありますが、まずはお子さんの生活のなかで、普段からひとつのことに集中すること、没頭することを習慣づけることが大事です。宿題をするときは、テレビを消して集中して取り組むなど、できることからやっていきましょう」

本番に強い子とは? 発表会

●普段の練習こそ、本番さながらに集中して取り組む

さらに、毎日の練習の取り組み方にも大事なポイントがあるという。

「試合、発表会、受験など、すべて日ごろの成果を試すのが本番ですが、ほとんどの人が気持ちのうえで本番が“主”で、練習や準備が脇役になってしまいがちです。しかし、あくまでも本番は、日ごろどれだけ完璧な準備や練習ができたかの確認作業にすぎません。ですから、日ごろの練習こそ集中して、本番さながらにプレッシャーを感じながら取り組むことが大事です。練習でできていないことは本番でできるはずがないのです」

本番とまったく同じ場所、時間、流れなどのシチュエーションで練習することや、イメージトレーニングも効果的だそう。

「まるで映画を観るように本番のイメージを頭の中で描くんです。あらゆる起こりうること想定し、“こうなったときは、こうするんだ”と、あらかじめリハーサルしておきます。本番の気持ちをある程度体験し想定内の状況として捉えておくことで、本番で何が起こってもうろたえず対応できるんですね。受験などもこういう準備がとても役立ちます」

また、本番に弱い子はミスを恐れるあまり、ガチガチになって目の前のプレーやパフォーマンスに集中できないケースが多いという。ミスに執着しすぎない、恐れないことも重要だそう。

「ミスというのは、そのまま受け入れて、起きてしまったことはしょうがない。今度はミスをしないようにしよう…くらいの気持ちでいいと思います。ただし、ミスをした場合は、その原因をきちんと究明して反復練習などで克服して次に繰り返さないことが大事です。つまり、緊張したからたまたまミスをしたのではなく、何か原因があってミスをしたと考えれば自分の弱点の打開策にもつながるのです」

本番はあくまでも日ごろの成果を発揮する場。日々の練習を本番以上に大事にすることこそが、本番に強くなる秘訣なのです。
(構成・文/横田裕美子)

お話を伺った人

児玉光雄
児玉光雄
追手門学院大学客員教授・臨床スポーツ心理学者
過去20年以上にわたり、臨床スポーツ心理 学者として、プロスポーツ選手のメンタルカウンセ ラーを務める。スポーツ界各分野のチャンピオン や、ビジネス界の成功者をさまざまな分野から分 析し、ビジネスの能力開発推進にも力を注ぐ。
過去20年以上にわたり、臨床スポーツ心理 学者として、プロスポーツ選手のメンタルカウンセ ラーを務める。スポーツ界各分野のチャンピオン や、ビジネス界の成功者をさまざまな分野から分 析し、ビジネスの能力開発推進にも力を注ぐ。