思春期になるにつれて話さなくなることはあるだろうけど、「幼い頃から学校のことは何も話さない」子も多い。しかも、学校では面白い子だったり、よくしゃべる子だったりするのに、家で話さないのは、不思議なところだ。
なぜ男の子は親に学校のことを話さないの? 教育研究所ARCS所長の管野淳一先生に聞いた。
「まず男の立場から女性に聞きたいのは、『女の人はなぜそんなに細かいことまで話したがり、聞きたがるの?』ということです。女性は幼い頃から日常の細々としたことや自分・相手の気持ちなどについても話したがり、聞きたがる傾向がありますが、それは男性(男の子)にとってはむしろ不思議なのです」(管野先生 以下同)
もともとコミュニケーションの手段として「言葉」を重要視し、情報交換したり、仲間であることを確認しあったりする女性と違い、男は戦ったり、狩りをしたりといった行動で評価されてきた歴史がある。そのため、女性に比べてコミュニケーション能力が発達しづらい側面もあるそう。
「おまけに、昔から『おしゃべりな男にはろくなヤツがいない』と揶揄されることもあるように、そもそもよくしゃべる男自体あまりよく思われない傾向にありますよね」
●母親の細かな質問や詮索で、話したくなくなる場合も
では、「男の子が何も話さない」としても特に問題ないということ?
「もちろん性格の違いもあり、学校での出来事を親に話す男の子もいますが、話さないとしても、そのこと自体は心配する必要はありません」
また、男の子が親に何も話さないのは、母親が原因となっている可能性もあるそうだ。
「母親が『今日、学校どうだった?』などと根掘り葉掘り聞いたり、妙に心配し、詮索したりすると、それを煩わしく思ったり、心配させたくないと思ったりすることで、余計に何も話さなくなります」
ただし、注意すべきことは、普段あまり話さない子が、あるとき急にいろいろ話しだしたときだそう。
「急にしゃべりだすときは、隠しごとをしている可能性もあります。例えば、友だちとのトラブルなどで、自分が被害者であるように苦し紛れにストーリーをでっち上げていることもあるので、自分の子の話ばかり鵜呑みにしないほうが良いでしょう」
学校のことを話さないからといって、悪いことをしているわけではなく、逆に、よく話す子も「親に話して良いことだけ話している」可能性はあるそう。
「話さないこと」を心配するよりも、日頃の様子をよく観察し、変化を見逃さないことが大切なのかも。
(田幸和歌子+ノオト)