●お正月におせちを食べる理由
おせち料理はもともとは中国から伝わった季節の変わり目とされる年5回の「節」に、神に供え物をし、宴を開くという宮中行事で用いられていた料理のことで、「御節供料理」と呼ばれていたそうです。そして江戸時代には庶民の間にも浸透し、お正月の「おせち料理」として定着したといわれています。昔の人々はおせち料理に、豊作や家内安全、子孫繁栄を願う意味を込めていました。
●おせちの献立の意味
おせちの献立は地域や風習によって様々ですが、それぞれに意味が込められている場合がほとんどです。まずは祝い肴と呼ばれる3種類から、黒豆は「まめ」という言葉が元来、丈夫・健康を意味する言葉であるため、「まめに働く」などの語呂合わせから元気に1年働けるようにという願いがこめられています。数の子はニシンの卵であることから、二親(父と母)から多くの子どもが出てめでたい、ということで子宝と子孫繁栄を祈る意味があります。田作りは元々小魚を田畑に肥料として巻いていたことから、田畑を作る小魚ということで田作りと名付けられたそうです。小さくても尾頭付きで縁起が良いことと、田畑を作ることから五穀豊穣が願われているそうです。
口取りと呼ばれるかまぼこや比較的甘めのものは、紅白かまぼこはそのまま紅白が祝いの色ということと、かまぼこは半円なので『日の出』を象徴するため縁起が良いということです。伊達巻きは大事な文章や絵は巻物にしていたため、宝を意味する巻物をおせちでは多く入れているようです。栗きんとんは栗を黄金色に輝く財宝にたとえて、豊かな1年を願う意味があり、また昔は栗を干したものを「勝ち栗」と呼んだことから、勝負運が良くなるということでも尊ばれてきたそうです。昆布巻きは昆布を「喜ぶ」の言葉にかけて、一家発展を願う縁起ものとしているそうです。
語呂合わせ的な物も多いですが、それぞれに意味や祈りが込められているおせち料理。ここで紹介したもの以外にも、それぞれの地域に意味の込められた料理が入っているので、お正月に食べるだけでなく、その意味も調べてみてはいかがでしょうか?
(文・姉崎マリオ/考務店)