つらく、大変なイメージがある「更年期障害」。
更年期の症状を感じて、年齢を意識したという方も多いかもしれません。
更年期障害に関するさまざまな情報やコンテンツがありますが、ここでは更年期障害を「症状、予防、対策」の3つにわけ、わかりやすく紹介していきます。
第1回目は、「更年期障害とは何か?」をテーマに、更年期障害の症状とメカニズムを解説します。
監修は、更年期医療のエキスパート・「よしかた産婦人科」の善方 裕美先生です。
もしかして「更年期障害」!?よくある症状、意外な症状
一口に「更年期障害」といっても、その症状にはさまざまなものがあります。
中でも、よくある初期症状をみてみましょう。
更年期障害のよくある初期症状
- ホットフラッシュ(のぼせや身体のほてり、発汗、寝汗)
- 手足の冷え
- 動悸
- 疲れやすい、身体が重く感じる
- 不眠
- 憂うつ、イライラ
- 肩こり、関節痛
- めまい、耳鳴り
- 物わすれ
- 膣の乾燥、性交痛
ざっと見ただけでも、多くの症状がありますよね。
その上、ホットフラッシュのような特徴的なものばかりでなく、疲労やストレスなどが原因で起こる症状もあり、症状だけで更年期障害を予想するのは難しいかもしれません。
善方先生いわく、関節痛や膝の痛みから始まる更年期障害の方も多いといいます。
「関節痛や膝の痛みを年齢的なものだと思っていたら、実は更年期障害の初期症状だったという患者さんもいます。
また、手指が痛むようになり、リウマチを疑ったら更年期症状だったという方も。
だるさやイライラなどは、更年期障害だけでなくさまざまな疾患にみられるので、余計に原因を特定しにくいのだと思います」と善方先生。
このような症状を伴う更年期障害は、なぜ起こるのでしょうか?
更年期障害の平均年齢は45歳から55歳!「更年期症状」が起こる原因とは
善方先生によると、更年期障害にまつわる症状は卵巣の機能が衰え、女性ホルモンのエストロゲンが減少することで起こるといいます。
女性の身体に影響を与えるエストロゲンの働き
「そもそもエストロゲンは、妊娠のために排卵させ、子宮内膜を厚くするのが主な仕事。
妊娠、出産可能な時期が終わり、閉経が近づくと、その量は急激に減っていきます。
エストロゲンは、閉経よりずっと前、30歳代後半から大きくゆらぎながら減少していき、それに伴って女性の身体も大きな影響を受けます。
更年期とは閉経の前後5年間を指し、閉経の平均年齢は、50.5歳ですから更年期障害が起きやすい時期は、だいたい45~55歳といえますね」。
もちろん、閉経の年齢には個人差があるので、すべての人が上記の間に更年期症状を実感するわけではないそう。
人によっては、後で思い返してあの時の症状が更年期症状だったのかもと気づくこともあるようです。
月経周期の乱れや眠気など、さまざまな症状があるプレ更年期
図にあるように、エストロゲンがゆらぎながら減少する直前の期間を「プレ更年期」ともいいます。
プレ更年期には、前述した更年期障害の初期症状のほか、月経周期の乱れや、眠気、気分が落ち込むなどの症状も。
また、エストロゲンのゆらゆら期を経て更年期症状が終着した後は、生活習慣病のリスクもじわりと上がるそう。
「エストロゲンは妊娠のためだけではなく、肝臓の動きを制御してコレステロールが増えにくくしたり、破骨細胞の代謝をコントロールして骨密度を保ったり、血管のしなやかさや、皮膚の水分量を維持するなど身体の若々しさをキープするための働きが多いのも事実。
エストロゲンの減少は避けられませんが、大切なのは、エストロゲンの働きに変わるものを補っていくこと。
骨粗鬆症であれば、カルシウムやビタミンD、ビタミンKを食事でしっかりとっていく。
肝機能に不安があれば、悪玉コレステロールが増えないような食事など、生活習慣を見直すことで、健康的に過ごしていくことは可能です」。
男性にもおとずれる、「更年期障害」
ちなみに、男性にも更年期障害はあります。
男性の場合は、男性ホルモンの「テストステロン」の分泌が減少することで起こります。
多い年齢は、55歳~60代で、女性の更年期障害の時期よりやや遅くおとずれる傾向が。
テストステロンもタンパク質の摂取や、また簡単な筋トレ、睡眠の質の向上などで分泌量が改善する場合もあるようです。
配信: UP LIFE