新常識はコレ!令和の炊飯事情
この記事では、大手メーカー 象印マホービン株式会社で、炊飯器の商品企画を担当する三嶋一徳さんに下準備方法から炊き方まで、令和の炊飯事情を教えてもらいました。
象印マホービン株式会社 第一事業部 商品企画担当/三嶋一徳さん電気ポットの開発や炊飯ジャーの開発担当を経て、現在は、炊飯ジャーや自動調理なべなどを開発する第一事業部にて商品企画を担当。業界初の「ローテーションIH構造」を搭載した2018年発売の「炎舞炊き」では、技術開発から販売にいたるまでトータルで関わる
三嶋一徳さん(以下、三嶋) 2006年頃に10万円を超えるような高級炊飯器が普及して話題になり、そこから年々炊飯器のクオリティが上がっています。メーカーの強みを生かしたり、新しい技術に挑戦したりしているので、最近の炊飯器で炊くごはんの味は、土鍋やかまどで炊いたごはんに引けを取らない仕上がりです。
炊飯器の進歩だけでなく、お米も進歩しています。常識的な炊き方は、何十年も前からある生活の知恵なので、変わっていないものもあれば、不要な工程が結構あるかもしれませんね!ちなみに最近の炊飯器は、2万円前後のものでもかなり高性能です。
ーーたしかに、性能が良いうえに低価格なものも増えましたね。せっかくなら炊飯器の機能をしっかり使っておいしいごはんが炊きたいです!
さっそく、下準備から炊き上がりまでで気になることをお聞きしたいと思います。
1. お米はギュッギュとしっかり研ぐべき?正しい下準備方法は?
画像のように、やさしく研ぐのが重要。画像のように指をたててシャカシャカと音がでるくらい、やさしく混ぜましょう。
研ぎ方としては、「すすぎ」と「洗い」に工程が分けられます。ちなみに、ここの工程はおいしく仕上げるためにとっても大切な作業です。
すすぎ〜洗いの工程
1. たっぷりの水をお米の入った内釜(またはボウル)に入れ、大きく2〜3回かき混ぜる
2. 水を素早く捨てる
〈洗い〉
3. すすぎの水を捨てて、お米だけの状態でシャカシャカと30回ほどかき混ぜる
4. 3にたっぷりの水を入れ、2〜3回ほど大きく混ぜたら水をすぐに捨てる
5. 洗いの工程 3〜4を何セットか繰り返す ※
※ 洗いの工程 繰り返し目安:4カップ未満……2セット、4カップ以上〜8カップ未満……3セット、8カップ以上……4セット
〈仕上げ〉
6. 仕上げに1〜2でおこなったすすぎを2セット繰り返す
手早く、やさしくが一番のポイント
ーー水の温度はどのくらいがベストですか?
三嶋 ベストな温度があるわけではないため、35℃以上のお湯を使用しないようにすれば大丈夫です。高い温度の水で洗うと、本来吸水するべき最適なタイミングの前にお米が水を吸い、お米本来のおいしさを引き出すことができなくなってしまいます。
最近の炊飯器なら内釜で研いでも大丈夫!
三嶋 ボウルでも良いですが、内釜で混ぜてしまって問題ないです。昔は、「内釜で研ぐとコーティングを傷つけて米がくっつきやすくなる」という常識がありましたが、ここ10年くらいで内釜のコーティング技術も進歩しました。やさしく研げば、かき混ぜたくらいでは傷つかないので大丈夫です。(※)
内釜で研ぐことより、フォークや小皿などを内釜に入れてシンクに置いておくほうがNG。小さな傷がつき、これが原因で炊飯器をダメにしてしまっている方がじつは多いんですよ。
(※)メーカーや商品によって異なる場合がございます。お持ちの商品の説明書に従い、使用してください。