サラダやロールキャベツ、野菜炒めにと使い勝手がよく、食卓に並ぶ回数が多いキャベツ。外側はよく洗った方がよさそうだけど、内側は洗わなくてもキレイな気がする……と思う方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、キャベツを洗うべきかどうなのかを管理栄養士が解説。また、洗う際のポイントについても紹介します。
キャベツは調理前に洗った方がよい
結論からいうと、キャベツは外側の葉はもちろん、内側の葉もしっかりと洗ってから調理する方がよいでしょう。その理由について解説します。
細菌や土などの汚れ、虫が付いている可能性がある
自然の中で育つキャベツは、収穫時点で土やほこりなどの汚れ、土などから由来する細菌が付いているおそれがあります。またヨトウムシやアオムシなどの虫は、キャベツなどの葉物野菜が大好物です。そのため、虫・卵・フンなどが付着したまま出荷される可能性も考えられます。
「汚れがついているのは外側だけじゃないの?」と思われる方もいるかもしれませんが、キャベツの葉は中心に向かって巻くようにして育つため、汚れなどが内側に入り込んでしまうことも。実際に、比較的中心に近い葉や芯から細菌が検出されたという報告もあります。
キャベツに付いた汚れや細菌などが、必ずしも食中毒の原因になるとは限りませんが、海外ではコールスローが原因の集団食中毒が起こった例もあります。安全に食べるためにも、キャベツはかならず洗ってから調理に使いましょう。
※参考:戸張眞臣(1995).「食生活における洗浄」『日本調理科学会誌』28(2),141-144 , 独立行政法人農畜産業振興機構「キャベツの寒害防止技術」 , 厚生労働省「リステリアによる食中毒」 , 東京都福祉保健局「生の野菜から食中毒菌が検出されることがあると聞きましたが、本当ですか?【食品安全FAQ】 」
農薬の付着を心配する必要はない
虫や病気による被害から守るために、野菜の栽培過程には農薬が使われます。特にキャベツは栽培中に虫が付きやすく、無農薬で作るのが難しい野菜です。
しかし、使用される農薬の量や使用方法は国が厳密に管理しているため、収穫されたキャベツから農薬が検出されることはあまりありません。残っていてもごくわずかな量であり、食べても私たちの健康に害はないとされています。
以上のことから「農薬をしっかりと落とす」という観点では、キャベツを必要以上に洗わなくても大丈夫です。ただし上記で紹介したように、細菌や土汚れ、虫などが付いている可能があるので、調理前にはやはりきれいに洗うことが大切です。
※参照: 東京都福祉保健局「野菜や果物についた農薬が心配です。洗浄などで落とすことはできますか? 【食品安全FAQ】」
洗ったときに浮き出る白い汚れは「ブルーム」
水洗いしたときに白い汚れや油のようなものが浮き出ることがあります。「農薬なのでは?」と驚くかもしれませんが、その正体は農薬ではなく「ブルーム」と呼ばれるもの。
キャベツの脂質から作られた成分が表面に浮き出たもので、水に溶けないため水で洗うと白く浮き出ることがあります。
ブルームは水をはじく性質があるため、雨がしみこむのを防いだり、内側からの水分蒸発を防いだりと、キャベツの鮮度を保つのに一役買っています。口にしても全く問題ない成分なので、安心してくださいね。
キャベツは「使う直前に使う分だけ洗う」のがポイント
キャベツは水で洗うと傷みやすくなるので、調理する直前に洗うのがおいしく食べるポイントです。事前に必要な分だけ切り分けてから洗うようにし、使わないキャベツはすぐに冷蔵庫や冷凍庫で保存しましょう。保存方法についてはこちらの記事で解説しているので、参考にしてくださいね。
キャベツを日持ちさせるには?丸ごと・カット後の保存方法とコツ
1玉使い切るのに時間がかかるキャベツは、気づいたら冷蔵庫の中にしまいっぱなしになっていませんか?キャベツを日持ちさせるコツは「低温で保存すること」と「芯を取り除くこと」です。今回は、1玉・カット済み・千切り・ざく切りキャベツを上手に保存する方法について、写真付きで解説します。
配信: トクバイニュース