揚げるとカロリーアップする理由
先ほども紹介したように生のままのなすはカロリーが低いものの、素揚げや天ぷらにするとグッとカロリーが増えてしまいます。その原因はなすの吸油率が高いことと、水分量が多いこと。カロリーアップの理由について詳しく解説します。
理由1:吸油率が高い
なすを油で炒めていると、なすがどんどん油を吸っていく様子を目にすることも多いでしょう。この現象はなすの吸油率が高いことが影響しています。
吸油率とは、「食材の重さに対してどれだけの量の油を吸ったか」を割合であらわしたもの。吸油率は使う食材や調理法によって変わります。たとえば、なすの吸油率は以下のようになります。
・なす(素揚げ)…14%
・なす(天ぷら)…18%
たとえば「なすの素揚げ」の吸油率は14%なので、80gのなすを素揚げすると「80g×0.14=11.2g」の油が吸収されることになります。
油は種類にかかわらず1gあたり9kcalのエネルギー量をもつため、素揚げにしただけで一気に100kcalほどもカロリーが増えてしまいます。また天ぷらは衣をつける分油を吸いやすいので、吸油率が素揚げより高くなります。
理由2:水分量が多い
揚げ調理をすると食材の水分が揚げ油と入れ替わるため、食材の水分量がもともと多かったり、蒸発する水分量が多かったりするほど油を吸いやすい傾向にあります。たとえば、素揚げしたときの吸油率をほかの食材と比べると以下のようになります。
・なす…14%(100gあたりの水分量…93.2g)
・さつまいも…3%(100gあたりの水分量…64.6g)
・かぼちゃ…7%(100gあたりの水分量…76.2g)
・ししとうがらし…10%(100gあたりの水分量…91.4g)
・じゃがいも(くし形切り)…2%(100gあたりの水分量…81.1g)
・じゃがいも(薄切り)…15%
水分量の少ないさつまいもかぼちゃなどの吸油率はあまり高くありません。またじゃがいもは表面積が大きい(油に触れる断面が多い)ほど水分が蒸発しやすいため、カットの仕方によって吸油率が変わってきます。
一方で、なすは90%以上が水分でできているため油を吸いやすく、揚げ物にするとカロリーが上がってしまうというわけです。
※参照:松本仲子監修、2018年、『調理のためのベーシックデータ 第5版』、女子栄養大学出版部
なすを使った料理のカロリー
それでは実際に、なすを使用した料理のカロリーはどのくらいになるのでしょうか。
油を大量に使う料理
油を大量に使う揚げ調理の場合、やはりカロリーが高くなってしまいます。
なすのはさみ揚げ(1人前…386kcal)
なすのはさみ揚げ
豚ひき肉、なす、○しょうがチューブ、○卵、○塩・こしょう、○パン粉、○牛乳、● 卵、●牛乳、●薄力粉、ソースまたはポン酢(好みで)、パン粉、揚げ油
調理時間:20分
なすのはさみ揚げにウスターソース(大さじ1)をかけて食べると22kcal、ポン酢(大さじ1)をかけて食べると10kcalのカロリーアップになります。
なすと鶏むねの油淋鶏風(1人前…401kcal)
なすと鶏むねの油淋鶏風
鶏むね肉、なす、小ねぎ(あれば)、○しょうゆ、○酒、●しょうゆ、●酢、●ごま油、●砂糖、●しょうがチューブ、●にんにくチューブ、片栗粉、サラダ油
調理時間:20分
油をあまり使わない料理
カロリーが気になるという方は、以下の料理のように焼く調理法、蒸す調理法のものを優先して選ぶとよいでしょう。
焼きなすのみょうが添え(1人前…31kcal)
焼きなすのみょうが添え
なす、みょうが、かつおぶし、○和風だしの素(顆粒)、○しょうゆ、○酒、○塩
調理時間:20分
夏野菜の焼きびたし(1人前…153kcal)
夏野菜の焼きびたし
なす、ピーマン、しょうがチューブ、めんつゆ(3倍濃縮)、サラダ油
調理時間:15分
なすとズッキーニのマリネ(1人前…159kcal)
なすとズッキーニのマリネ
なす、ズッキーニ、○すし酢、○めんつゆ(3倍濃縮)、オリーブオイル
調理時間:15分
もしも油を使った料理を食べるときは、一緒に食べるものの組み合わせに気を付けたり、食べる頻度を少なくしたりしてカロリーの摂りすぎを防ぎましょう。
配信: トクバイニュース