突然逮捕?!家族や従業員が逮捕されたときのたった1つの対応策

突然逮捕?!家族や従業員が逮捕されたときのたった1つの対応策

3、突然逮捕された後、被疑者はどうなる?

では、逮捕されてしまったら、どのような状況におかれるのでしょうか。

(1)警察で取調べ

逮捕されてから最大48時間の間、まずは警察官からの取調べを受けます。

警察での取調べの後、多くのケースで検察官へと送致されます(送検)。

検察官へ送致するにあたり、罪証隠滅や逃亡のおそれがないと判断されれば身柄拘束のない「在宅事件」となり、身柄は解放され、書類のみが検察官に送られます(いわゆる「書類送検」。その後は検察庁に呼び出され、取調べを受けることになります)。

(2)検察官への送致から勾留

送致された事件について、検察官は24時間以内に勾留請求を行うかを決定します。

勾留請求は必ず認められるわけではなく、合理的な嫌疑があり、罪証隠滅や逃亡のおそれなど勾留を行わなければならない理由が必要です。

もっとも、上図によれば、2016年の勾留請求の認容率は96.6%ということで、ほとんどのケースで勾留請求が認められているのが現状です。

勾留請求が認められると、まず10日間勾留が行われ、捜査が終わらなかった場合にはさらに10日間延長されます。

(3)検察官による起訴

検察官は、最大20日間の勾留期間の満了までに、起訴か不起訴かの決定をします。

4、「弁護士への相談・依頼」が家族のできる最大のサポート

逮捕・勾留され、勾留も延長されると、起訴されるまで23日間も拘束されることになります。

さらに、公判請求された場合には通常、さらに身柄拘束が続きます。

身柄拘束が続けば当然、仕事や学業への影響は避けられません。

影響をおさえるには早期の釈放が重要ですが、家族としてできる一番のサポートは、できる限り早く弁護士に相談・依頼を行うことです。

(1)釈放には被害者との示談が重要

釈放されるには、実務上、被害者との示談が重要です。

示談とは、民事的な法律問題の解決(たとえば、殴られて怪我をしたことについての損害賠償)についての当事者間の話し合いですが、刑事事件について示談が成立する際には、

  • 言葉・書面による謝罪や金銭の授受
  • 今後の関係性においての約束(自宅付近に近づかない、別の県に引っ越す等)
  • 宥恕文言(「刑事処分を望まない」など、被害者が加害者を許している趣旨のことば)

が盛り込まれるのが一般的です。

示談が成立すると、被害者が被害届や告訴を取り下げることもあります。

そして、検察官も、「被害の金銭的な回復があり、被害者も許しているのであれば」と起訴に積極的でなくなり、不起訴につながることも少なくありません。

示談は被疑者の家族が行うこともできますが、被疑者と同視されてしまってなかなか話し合いに応じてもらえないことが多いでしょう。

一方、弁護士であれば話を聞く、という被害者も多く、また刑事事件に精通した弁護士であれば相場を意識して交渉を上手くまとめてくれるはずです。

(2)釈放を目指すためのテクニック

弁護士に依頼することで、各段階において以下のような形で早期解放を実現できる可能性があります。

①送検前

警察官に対し、軽微な内容であることや、逃亡等のおそれが低いことなど、そもそも身柄拘束が不要であるとアピールしていきます。

②勾留前

身柄拘束の必要性が低いことや、身柄拘束が継続すると被疑者の不利益が非常に大きいことなどを説明し、検察官に勾留請求しないよう説得したり、裁判官に勾留請求を却下するよう働きかけます。

③勾留後

そして、たとえ勾留請求が認められた後も、裁判所が出した勾留決定が適切ではないとして異議申し立てをすることができます(準抗告)。

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