副作用は?ピルって本当に体に安心?

第1回 避妊だけじゃない、女性に役立つピルの効果とは
低用量ピルが主流になり、使用に対する心のハードルが下がっている。最近では避妊以外の効能もうたわれ、使ってみようと考えているママも少なくないという。しかしその一方で、副作用が心配という声も…。そこで、ピルの効能と懸念点について、産婦人科医の吉野一枝先生に話を聞いてみた。

●ピルの効能とは

「ピルは避妊薬としてだけでなく、月経困難症(いわゆる生理痛)の治療に使われるほか、月経不順やPMS、卵巣がん、子宮がんの予防などにも有効です。人によっては肌荒れにも効果があり、皮膚科では治らなかったにきびが、ピルを服用して半年ですっかり良くなったという方もいらっしゃいます」(吉野先生 以下同)

女性に役立つ効果が多いようだが、副作用はないのだろうか?

「飲み始めると、吐き気や頭痛、腹痛、むくみなどの症状が出る方もいらっしゃいますが、大体2~3カ月で落ち着きます。ピルはほかの薬と併用できますので、吐き気止めや痛み止めを始めのうちに飲んでいれば、その症状も落ち着いてきます」

副作用は?ピルって本当に体に安心?

●ピルでがんの発症率が上がる可能性は?

よく、ピルを飲むと「血栓症や乳がんの発症率が上がる」という話を聞くが、その心配はないの?

「血栓症になるリスクは若干上がるといわれていますが、喫煙や妊娠するほうがよっぽどリスクが高いんです。発症しても初期に対処すれば重篤になることもありません」

また、乳がんについては、治療中の人や再発が懸念される場合は処方されないが、服用しても発症率は変わらないことが実証されているという。卵巣がん、大腸がん、子宮体がんに至ってはピルを飲んでいた人のほうが、発症率が低いそう。

ピルの飲み方は毎日1錠服用すること。かかる費用は毎月自費なら2000~3000円、保険適応のものだと1300円~2500円程度だ。

「日本では国が補助をしないため、ピルの価格は諸外国に比べると割高な面もあります。服用を始めても、その費用を負担に感じることは少なくありません」

女性特有の症状に役立つことも多いピル。健康管理に取り入れることを検討するなら、産婦人科にまずは相談してみよう。
(石水典子+ノオト)

お話をお聞きした人

吉野一枝
よしの女性診療所
よしの女性診療所院長。産婦人科医。臨床心理士。街のかかりつけ医として診察を行いながら、雑誌などに多数寄稿。著書『母と娘のホルモンLesson』(メディカルトリビューン)。
よしの女性診療所院長。産婦人科医。臨床心理士。街のかかりつけ医として診察を行いながら、雑誌などに多数寄稿。著書『母と娘のホルモンLesson』(メディカルトリビューン)。