●ピルと妊娠の関係は?
「ピルは不妊の治療に使うこともあるくらいなので、むしろ妊娠はしやすくなります。例えば、ピルを飲むことで子宮内膜症の予防や治療になり、妊娠率が上がることでも知られています」(よしの女性診療所 吉野一枝先生 以下同)
ちなみにピルの服用をやめた翌月には、妊娠できる状態になる。妊娠中に気付かず服用していても、少量のホルモンなので胎児にはまったく影響はないそう。授乳中は飲めないが、授乳期間が終われば再開できるのだとか。
●ピルは子宮の状態を整える役割も
ピルと妊娠の関係といえば、20代のうちからピルを飲んでいると、30代すぎてからも妊娠しやすいともいうけど?
「通常35歳を過ぎるとホルモン低下が始まるため、妊娠しづらくなります。また、卵巣に病変があると卵巣機能が落ちるので、妊娠率は低下してしまいます。10代~20代のうちからピルを服用していると、月経不順を整えたり子宮内膜症の予防などができたりします。子宮や卵巣がきれいな状態のまま保たれるため、30代後半になっても比較的妊娠しやすいといわれているのです」
キャリア形成で出産時期に悩んでいる女性は、早めに産婦人科で相談してみてほしいそう。
「40歳を過ぎてから不妊治療にくる患者さんがいらっしゃいますが、妊娠・出産は年齢を重ねるほど難しくなります。最近は、妊娠・出産年齢が上がっていて、月経が始まってから出産までの期間が長くなっています。そのため、以前よりも月経回数が増え、子宮内膜症や筋腫、子宮がん、卵巣がんなどになりやすくなっています。ピルは、そういった女性特有の疾患にも効果があるので、現代女性ならではの悩みに対処できるひとつの手段ともいえます」
もちろん、高齢出産にはリスクが伴うし、ピルを服用すれば妊娠・出産を先延ばしにしても良いというわけではない。自分のライフプランを考え、少しでも子宮の状態を整えておきたいという場合は、一度検討してもいいかもしれない。
(石水典子+ノオト)