バターとマーガリン、健康のため選ぶならどっち?|管理栄養士執筆

バターとマーガリン、健康のため選ぶならどっち?|管理栄養士執筆

バターとマーガリンはもともと似せて作られたものであり、味や栄養面で比較されることも少なくありません。

健康のためには、バターとマーガリンのどちらを選ぶべきでしょうか?
栄養成分や健康への影響について、比較してみました。

バターとマーガリンの違いとは?

似せて作られたバターとマーガリンですが、原材料や製法、成分の構成などに違いがあります。

原料について、バターの多くは牛乳由来の乳脂肪が主原料となっています。

乳脂肪に食塩を加えた「有塩バター」が主流です。

一方、マーガリンの主原料は植物性油脂であり、製品によっては魚油、ラード、牛脂などが使用されています。さらに、水、乳化剤、乳成分、ビタミン類が加えられています。

一般的にマーガリンと呼ばれている「マーガリン類」はその油脂含有率によってマーガリンとファットスプレッドに分類されます。

日本の家庭用マーガリンは油脂含有率80%のファットスプレッドが主流となっています。

バターとマーガリンそれぞれの主なものとして、有塩バターとファットスプレッドの栄養成分を比較してみましょう。

■有塩バター(10gあたり)

エネルギー 70kcal

たんぱく質 0.1g

脂質 7.5g

炭水化物 0.7g

■ファットスプレッド(10gあたり)

エネルギー 58kcal

たんぱく質 0g

脂質 6.4g

炭水化物 0g

(日本食品標準成分表2020年版(八訂)より)

ともにほとんどが脂質からなり、たんぱく質や炭水化物は微量のみ含まれています。

油脂含有率が比較的低いファットスプレッドは、バターと比較すると重さあたりのエネルギーはやや低めです。

バターとマーガリンでは、ともに主成分となる「脂質」の内容に違いがあることが知られています。

脂質の内容:脂肪酸組成の違い

脂肪酸とは脂質の構成成分であり、いくつもの種類があります。

脂肪酸はその構造の違いによって体内でさまざまな異なるはたらきをするため、同じ「油脂」であっても、どの脂肪酸からできているか=脂肪酸組成の違いによって、体に与える影響が異なります。

トリグリセリドの組成

脂肪酸の分類にはいくつか種類がありますが、今回は「飽和脂肪酸」「一価不飽和脂肪酸」「多価不飽和脂肪酸」の3種類に分類したときの組成を比較します。

■有塩バターの脂肪酸組成(10gあたり)

飽和脂肪酸 5.0g

一価不飽和脂肪酸 1.8g

多価不飽和脂肪酸 0.2g

■ファットスプレッドの脂肪酸組成(10gあたり)

飽和脂肪酸 2.0g

一価不飽和脂肪酸 2.1g

多価不飽和脂肪酸 2.0g

(日本食品標準成分表2020年版(八訂)より)

バターとマーガリンの脂肪酸組成を比較すると、バターでは飽和脂肪酸が多く、ファットスプレッドは多価不飽和脂肪酸が多いことがわかります。

成分値にはデータがないものの、多価不飽和脂肪酸のなかに「トランス脂肪酸」が含まれており、健康への悪影響が心配されています。

 

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