バターとマーガリン、健康のため選ぶならどっち?|管理栄養士執筆

バターとマーガリン、健康のため選ぶならどっち?|管理栄養士執筆

バターとマーガリンはもともと似せて作られたものであり、味や栄養面で比較されることも少なくありません。

健康のためには、バターとマーガリンのどちらを選ぶべきでしょうか?
栄養成分や健康への影響について、比較してみました。

トランス脂肪酸を含むマーガリン、飽和脂肪酸が多いバター

トランス脂肪酸とは、脂肪酸のうち、構造の一部が一般的なシス型とは異なるトランス型になっている脂肪酸のことです。

シス型とトランス型

自然には牛の胃の中にいる微生物のはたらきで作られるほか、マーガリン類などの製造中の水素添加の過程で一部生成することが知られています。

製品によって幅があるものの、平成18年度の調査では、ファットスプレッドには1~10%、平均では5%ほど含まれていると報告されています。

近年ではメーカーによるトランス脂肪酸低減の取り組みも積極的に行われており、平均的な量はもっと少なくなっているかもしれませんね。

トランス脂肪酸は血中のLDLコレステロール値を上げる作用を持つことから、動脈硬化などの生活習慣病のリスクを高める食品成分であるとして、なるべく摂取量を抑えたいものとされています。

乳製品や肉類に含まれる自然由来のトランス脂肪酸ではこの作用はなく、問題となるのは人工的に生成したトランス脂肪酸のみです。

この人工由来のトランス脂肪酸が含まれるためにマーガリンは体に悪い…といわれることもありますが、バターに多い「飽和脂肪酸」も注目したいポイントになります。

飽和脂肪酸はトランス脂肪酸ほど知名度がありませんが、トランス脂肪酸と同様に血中LDLコレステロール濃度を上げる作用を持ち、動脈硬化性疾患のリスク要因となることが知られています。

白黒はっきりとした結論は出せない

このような理由から、トランス脂肪酸だけに注目し、マーガリンはだめでバターはよい…と簡単に結論付けることはできません。

飽和脂肪酸のはたらきはトランス脂肪酸の半分程度と見積もられているものの、その習慣的な摂取量はトランス脂肪酸よりもはるかに多く、実際に血中LDLコレステロール値に与える影響は飽和脂肪酸のほうが大きいと考えられています。

人工由来のトランス脂肪酸を含むマーガリン、飽和脂肪酸が比較的多いバター。

どちらも動脈硬化性疾患リスクを上げる食品成分を含むものであり、摂取量には気を付けたい…といえそうです。

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