まとめ どちらもなるべく控えめ、が落としどころ?
トランス脂肪酸にしても、飽和脂肪酸にしても、マーガリンやバターだけに注目して「徹底的に排除」してもあまり意味がありません。
私たちが摂取しているトランス脂肪酸はマーガリンそのものよりも菓子類・パン類・マーガリン以外の油脂類・インスタント食品からの摂取が多いことが知られていますし、飽和脂肪酸に関しても、肉類や乳製品などからの摂取量が多くなっています。
トランス脂肪酸・飽和脂肪酸ともに必須の栄養素ではなく、摂取量はなるべく抑えたいものです。
しかし、日本人の平均的なトランス脂肪酸の摂取量はWHOが提言する目標値を達成しているものであり、飽和脂肪酸に関しても食事摂取基準2020年版(厚労省)での目標は「現在の平均摂取量未満」とされており、限りなくゼロにする必要性は今のところありません。
トランス脂肪酸にせよ、飽和脂肪酸にせよ、徹底的に排除しようとすると、食事の選択の幅を狭め、かえって栄養バランスが崩れたり、食事の負担が大きくなりすぎたりしてしまいます。
特に食事の制限がない人の場合には、バターとマーガリンのどちらを選んでもよいし、どちらもとりすぎ注意、というのが結論となりそうです。
参考文献
日本マーガリン工業会:「マーガリンの基礎知識・マーガリンのできるまで」
厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書
Kobayashi S, et al. Both comprehensive and brief self-administered diet history questionnaires satisfactorily rank nutrient intakes in Japanese adults. J Epidemiol 2012; 22: 151-9.
Yamada M, Sasaki S, Murakami K, Takahashi Y, Okubo H, Hirota N, Notsu A, Todoriki H, Miura A, Fukui M, Date C. Estimation of trans fatty acid intake in Japanese adults using 16-day diet records based on a food composition database developed for the Japanese population. J Epidemiol. 2010; 20(2): 119-27.
Satoshi Sasaki, Minatsu Kobayashi, Shoichiro Tsugane. Development of Substituted Fatty Acid Food Composition Table for the Use in Nutritional Epidemiologic Studies for Japanese Populations: Its Methodological Backgrounds and the Evaluation. Journal of Epidemiology, 1999; 9(3): 190-207
Joint WHO/FAO Expert Consultation on Diet, Nutrition and the Prevention of Chronic Diseases (2002 : Geneva, Switzerland) Diet, nutrition and the prevention of chronic diseases: report of a joint WHO/FAO expert consultation, Geneva, 28 January — 1 February 2002.
内閣府食品安全委員会.食品に含まれるトランス脂肪酸に係る食品健康影響評価情報に関する調査報告書,2010.
配信: イマカラ