意外とやりがちなママチャリNG行為

第2回 親子で知っておきたい、加害者にならないための自転車のマナー
2015年6月に施行された改正道路交通法で、自転車運転に改めて危機意識を高めた人も多かったのでは? しかしながら、罰則対象になっている違反運転を目にすることがしばしばある。そこで、知らずに行いがちな違反運転はどのようなものがあるのか、弁護士の好川久治先生に聞いてみた。

「通常自転車の二人乗りは禁止ですが、子どもを乗せる専用のシートが設置されていれば可能です。各都道府県によって違いますが、東京都の場合、乗せていいのは6歳未満と指定されています。二人乗りをする場合、運転していいのは16歳以上。お兄ちゃんやお姉ちゃんが弟、妹を乗せている場合は注意が必要です」(好川弁護士 以下同)

さらに、赤ちゃんをおんぶ紐で背負っての運転はOKだが、抱っこでの二人乗りはNGだ。ここは見落としがちなので、しっかりと覚えておこう。

意外とやりがちなママチャリNG行為

●自転車での歩道走行は、接触事故を起こしやすい

ほかに、ママがやりがちな違反行為にはどういったものがあるのだろうか?

「自転車は道路交通法の軽車両です。ママチャリだけに限定されるわけではありませんが、高齢者や幼少の子どもの運転、または交通が頻繁な車道以外は、小さい子どもを乗せていても車道を走ることが原則になっています。また、お子さんを乗せていると不安定になり、かえって危険だとも考えられますが、歩道を走るときは徐行しなければいけません」

自転車可の標識が出ている歩道もあるが、当然歩行者が優先。道路交通法で自転車は歩道の中央から車道寄りの部分を徐行し、歩行者の通行を妨げることとなる場合は一時停止することが決められている。実際に、周囲のママからは「歩行者優先なのは知っているが、急いでいるときは歩道でスピードを出しがち」(30代)との声も寄せられた。こういった走行は自分が加害者になりかねないので、絶対にやめよう。

●自転車事故防止には、無理してママチャリに乗らない配慮も

また、「ママチャリは基本、合羽を着て運転しているが、急に降り出した雨のときは折りたたみ傘を差して使うことがある」(30代)と答えるママもいた。「傘差し運転」は違法にあたり、子どもを乗せながら片手で運転するのはバランスを崩しやすく非常に危険だ。雨の日の登園はママチャリを使わずに歩いて行くなど、配慮しよう。

近年減少傾向にあるとはいえ、自転車事故は交通事故の約2割を占めている(警視庁『自転車事故の推移 平成27年11月末』)。そのなかで、自転車の運転で加害者となったケースは、2万件弱といわれる(警察庁交通局「平成26年中の交通事故の発生状況」19頁下表)。「自転車事故でも自動車と変わらず大けがをさせてしまうことがあるので、注意が必要です」と、好川先生は釘をさす。

歩道での自転車の接触事故は多く、報告されず確認されていないケースも多い。子どもを乗せているママチャリが車道を走るか、歩道を走るか、ママの冷静な判断にゆだねられるようだ。
(石水典子+ノオト)

お話をお聞きした人

好川久治
ヒューマンネットワーク中村総合法律事務所
大手保険会社勤務を経て弁護士に。家事事件から倒産事件、交通事故、各種損害賠償、労働問題、企業法務・コンプライアンスまで幅広く業務をこなす。
大手保険会社勤務を経て弁護士に。家事事件から倒産事件、交通事故、各種損害賠償、労働問題、企業法務・コンプライアンスまで幅広く業務をこなす。