わが子がいじめの加害者にならないために、親ができることとは?

第3回 わが子がいじめの加害者だった! 親としてどうする?
“いじめは悪いこと”そうわかっているのに、なぜ学校からいじめはなくならないのでしょうか? いじめをなくすためには、加害者をなくすこと。それしか方法はありません。では、わが子をいじめの加害者にしないために、親としてできることとは?

「いじめは、子どもの不満やストレスのはけ口なんです。子どもは、日ごろからいろいろなストレスを抱えています。例えば、学校が管理的だったり、威圧的だったり、今は家庭教育のストレスも子どもたちを追い込んでプレッシャーをかけているので、いじめることで発散してしまうのです」

そう話すのは、白梅学園大学教授で臨床教育学を専門とする増田修治先生。以下のように家庭教育を見直すだけでも、加害者になるリスクを防ぐことができるそう。

1)子どもに勝たなきゃダメ! なんでもできなきゃダメ! と要求しない

「今の子どもたちは、親御さんから“勝たなきゃダメ!”“なんでもできなきゃダメ!”と、追い込まれているのです。でも、なんでもできる子なんてどこに居るのでしょうか? そんな理想を突きつけられた子どもは、当然勝たなきゃいけないというプレッシャーや、うまくいかない焦り、不満、イライラを抱えます。そして、そのはけ口としていじめへ発展してしまうのです。どうか、わが子を“あなたらしくいなさい!”と、ありのままに受け入れ、決して勝つこと、万能であることを求めるのではなく、頑張る過程を褒めて見守ってやることを心がけてください」

わが子をいじめの加害者にしないために親ができること

2)子どもは放置しても絶対にダメ! 見守ることが大事

「教育熱心になるがあまり、わが子にプレッシャーをかけてしまうのもダメですが、放置、放任もダメなんです。子どもは愛を求め続ける存在なんです。愛されたいし、愛してほしいと思い続けている。親から十分に愛された子どもこそが、人を愛したり、人のマイナス面を認めたりすることができるんです。だから、“勝手にしなさい”と放っておかれると自己肯定感も育たないので、ストレスをためることになるんです」

では、どうしたらいいのでしょうか?

「大事なことは、“あなたのことを見てるし、 信じてるし、愛してるよ!”と、常に伝え、後ろから見守ってやることなんです。まなざしの安心感が何より子どもに必要なんです。逆に親御さんが“ダメな子だ”と思い続ければ、どんどんダメになってしまいますので、どうか気をつけてください」

3)いじめ問題を他人事にせず、普段から親子で話し合う

「いじめ問題は、決して他人事ではありません。ニュース、新聞などでいじめの問題が取り上げられたときは、いろいろ情報も集めて“こういう事件があったね。あなたはどう思う?”と、日ごろから互いの意見を言い合って、話し合うようにしてください。そして、いじめをすることが、被害者にどんな苦痛を与え、どんな悲劇につながり、加害者もその責任と制裁を一生背負って生きていかなければならないことを、その度に強く言い聞かせてください。現代のネット社会は本当に怖いです。加害者への制裁は、ネットを通して拡散し社会的抹殺にもつながります。どうか、加害者にしないために親として常に真剣に向き合ってあげてください」

子育てをしている以上、わが子がいじめの被害者だけでなく、加害者にもなりうるということを、念頭に置いておかなければなりません。そして、加害者にしないためには、いじめの恐ろしさ、現実を親子共々しっかり理解すること。それこそが抑止につながるのではないでしょうか。
(構成・文/横田裕美子)

お話をうかがった人

増田修治
増田修治
白梅学園大学 子ども学部子ども学科教授
埼玉大学教育学部を卒業後、28年間の小学校教員 生活を経て、現職。専攻は、臨床教育学、学級経営論。 小学校教諭を対象とした研修の講師なども務め、さまざ まな学校問題に取り組んでいる。また、新聞、テレビ、雑 誌などメディアのコメントなども多数。「笑う子育て実例集」 (カンゼン)ほか、著書も多数。
埼玉大学教育学部を卒業後、28年間の小学校教員 生活を経て、現職。専攻は、臨床教育学、学級経営論。 小学校教諭を対象とした研修の講師なども務め、さまざ まな学校問題に取り組んでいる。また、新聞、テレビ、雑 誌などメディアのコメントなども多数。「笑う子育て実例集」 (カンゼン)ほか、著書も多数。