不動産売買のトラブル・トラブル予防は不動産に詳しい弁護士に相談!

不動産売買のトラブル・トラブル予防は不動産に詳しい弁護士に相談!

不動産売買において、弁護士に相談した方がよいケースがあるのをご存知ですか?

マイホームを購入する場合のように、不動産売買の多くは、法律に基づいて営業免許を取得している不動産業者の仲介によって行われます。正規の不動産業者の仲介のある不動産売買であれば、宅地建物取引士がきちんと対応をしてくれるので、基本的には安心・安全といえます。その意味では、一般的な不動産売買を弁護士に相談・依頼して処理する必要のあるケースは多いとはいえないでしょう。

しかし、不動産売買は不測のトラブルに発展しやすい取引であるだけでなく、仲介業者は必ずしも不動産売買の当事者の味方とは言い切れないことにも注意する必要があります。そんなときこそ弁護士の出番です。

 そこで、今回は

  • 不動産取引で生じやすい法律トラブルの具体例
  • 不動産売買を弁護士に相談・依頼すべき具体的ケース

などについて解説していきます。

ご参考になれば幸いです。

不動産トラブルの相談先を知りたい方は以下の記事で詳しく紹介されていますので、ぜひご覧ください。

1、不動産売買でなぜ弁護士に相談?売却で生じる4つの法律トラブル

不動産売買はリスクの高い取引のひとつであるといえます。

不動産売買の仲介には国家資格者が関わらなければならないとされている理由には、これらのリスクに対し適切に対処する必要があるからです。

不動産売買に関するトラブルとして、「欠陥住宅を買わされてしまった」というような建物の物理的なトラブルを思い浮かべる人が多いと思われます。

しかし売買対象となる不動産や契約事項に関係して法律上のトラブルが起きることが多いのです。詳しく見ていきましょう。

(1)不動産の権利関係をめぐるトラブル

不動産には、所有権以外にもさまざまな権利が付帯している場合があります。

その典型は、「抵当権」です。

抵当権とは担保にしてある不動産から、ある債権者(お金を貸している人やローンの返済を受ける人)が優先的に弁済(お金を返すこと)を受けられる権利のことです。

例えばある人が借金の担保として土地を差し出し抵当権を設定した場合、お金が返せなくなったとき貸主(債権者)が抵当権を実行することで、貸主はその担保の土地を処分して、その土地の処分代金から優先的に弁済を受けることができます。

そのため、購入した不動産に抵当権がついていた場合、債務者が借金などを返せずに貸主(債権者)に抵当権を実行されてしまうと、当該不動産を確保できない可能性があるのです。

それ以外にも、借地権、地上権といった権利が設定されていることが原因で、購入した不動産を満足に利用することができないなどといったトラブルに巻き込まれるリスクがあります。

設定されている権利の内容について誤解・思い込みをもった売買をしてしまったことが原因で後にトラブルになるケースも珍しくありません。十分な注意が必要です。

(2)隣地との境界争い

土地の所有権は「目で見ることのできないもの」なので、土地の境界線を正確に把握することは、一般の人にとっては簡単なことではありません。

通常の不動産売買(不動産業者の仲介があるケース)では、売却前に隣地との間で土地の境界の確認作業(隣地所有者との立ち会い)が行われます。

しかし、それでも売買後に境界争いが起きてしまうケースはあります。

特に売買の対象となる土地の公図(法務局に備え付けられている地図)と現地とが整合していない場合には、客観的な資料から正しい境界の位置を調査することが困難であることが多いです。

「先祖代々の土地」のように所有者が古くから土地を所有しているケースでは、昭和以前に公図が作成されてから手入れされていないために、公図と現地とが整合していないケースが多いでしょう。

(3)法令上の制限を原因とするトラブル

土地を所有していても、常に自分の好きなように土地を利用できるとは限りません。

すべての土地所有者が自分の都合だけで土地を利用すれば、社会にとって不利益な状況も生まれます。

例えば土地所有者の身勝手な土地利用(高すぎる建物、隣人家屋の一部越境など)が周辺住民に損害を生じさせることもあります。

そのため日本には、土地の利用を規制するさまざまな法令が存在しています。

宅建業者が関与する不動産取引では、法令上の制限については必ず重要事項として説明してもらうことができます。

しかし一般の人にとっては「それだけで正しく理解できない」というケースもあるかもしれません。

法令上の制限についての誤解や思い込みをもったまま不動産を購入してしまえば、「希望通りの建物が建てられない」といったトラブルの原因になりかねません。

また、宅建業者の仲介のない不動産売買では、売主・買主共に気づいていない法令上の制限が存在することも考えられます。

宅建業者が重要事項として説明しなければならない法令上の制限(宅地建物取引業法)は、実に60近くのものがあり、専門知識のない一般の人では見落としてしまう可能性も大きいです。

(4)契約事項に関するトラブル

不動産売買は一般的な商品を購入する場合とは異なり、契約の申し込みから契約締結・決済・引き渡しまでに一定期間のプロセスを経ることが一般的です。

またそれぞれの物件の状況に応じて、(同意できた代金で売買することに加えて)適切な特約を設定することも珍しくありません。

不動産売買における特約の典型例は、「売主の瑕疵担保責任」に関するさまざまな条項です。

瑕疵とは欠陥のことです。

売った不動産に欠陥があった場合に売主が責任を負わなくてはならないということですが、特約事項は、法律の専門知識のない人にとっては難しい内容であると思われます。

またこれらの特約事項は、「売主に有利な条件」が設定されていることも多いので注意しておく必要があるでしょう。

2、不動産売買について弁護士に相談・依頼すべき5つのケース

不動産売買する際に、弁護士に相談・依頼をすべき場合としては、次の5つのケースが考えられます。

(1)不動産業者の仲介のない不動産売買

不動産売買をする際に弁護士に相談・依頼すべき典型的なケースは、不動産業者の仲介がない(素人同士の)不動産売買です。

不動産売買は取引金額も高額となり、特に重要な売買契約であるだけでなく、上でも触れたように、事前に法的な調査・チェックをすべき項目が大量にあります。

しかし素人同士の取引では、これらの調査・チェックを怠ってしまう(漏れてしまう)ことも少なくないため、後にトラブルが生じやすいといえます。

(2)他人のための権利(負担)が設定されている不動産を売買するとき

不動産に抵当権などの他の権利が設定されているときには、特に注意が必要です。抵当権、借地権、借家権といった、不動産所有者以外の第三者のために設定された法的権利は、不動産の所有者が変わっても自然に消滅しないからです。

これらの負担があるために、不動産(土地)購入後の利用に支障が生じる可能性がある場合には、負担が設定されていることによる悪影響、負担を解除するための方法などについて、弁護士から助言をもらっておいた方がよいといえるでしょう。

(3)不動産の権利関係が明瞭ではない場合

不動産に他人のための権利が設定されているケース以外にも、

  • 不動産の権利関係が明確になっていない
  • 通常の不動産売買の方法とは異なるやり方で取引をするとき

などには弁護士の助言を受けておいた方がよいでしょう。

たとえば特に次のようなケースでは、売買後にトラブルになる可能性が低くないので、売買契約を締結する前に専門家に相談しておいた方がよいと言えます。

  • 不動産の共有持ち分を売買する場合
  • 共有者のいる不動産を購入する場合
  • 不動産の権利を客観的に確認できる資料(権利証など)がない場合
  • 公図で示される土地の形状と現地の状況が整合しない場合
  • 他人が利用(占有)している不動産を売買する場合
  • 公簿売買で不動産を購入する場合

(4)契約書の内容(特約事項)を理解できない場合

不動産売買では契約書が作成されることが一般的です。>

しかし不動産の契約書には、さまざまな契約条項が盛り込まれていることが多く、契約書を読むことに慣れていない人にとっては、「よくわからない」ということもあるかもしれません。

不動産売買契約は特に大きな金額の動く取引であるだけでなく、細かい契約条項の内容によって、買主・売主の地位(権利の安定性)が大きく左右されることも珍しくありません。

したがって、不動産の契約書で示された条項に不明なことがあるときには、「あなたの利益にとってどのように有利・不利なのか」ということを正確にアドバイスしてくれる弁護士からの助言がとても有効です。

不動産の売買は、「すぐに契約に締結しなければならない」ということも多くないはずです。

少しでも不安がある、わからないことがあるときには、慎重を期した方がよいでしょう。

(5)不動産業者・売主(買主)を信頼できないと感じた場合

不動産売買は、仲介業者や売主(買主)が信用できないときには、基本的には控えるべきです。

信頼できない相手と不動産売買を行うことは、金額などの面でリスクが大きすぎるからです。

不動産売買をめぐっては取り返しのつかない被害がでることも少なくありません。

近年では、不動産のプロもだまされてしまうような事件も発生していますから、「少しでも不安を感じた」というときには、弁護士に相談しておいた方がよいでしょう。

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