任意整理を検討している人は「プール金」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。借金の返済すら大変な状況の中、なぜプール金を積み立てなければならないのか疑問に感じている人もいるでしょう。
そこで今回は、
- 任意整理でプール金を積み立てる目的
- プール金の使い道
などについて解説します。
本記事がお役に立てば幸いです。
1、そもそもプール金とは
ここではまず、そもそもプール金とは何かについて確認していきましょう。
(1)プール金とは
借金の返済が難しくなり個人再生(再生計画という返済計画の認可を裁判所から受けて借金を大幅に減額する手続き)や任意整理(お金を貸している人と交渉して支払いをより楽にする手続き)を検討している人は「プール金」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
プール金とは、任意整理や個人再生の手続を進めていく際、毎月決まった金額を積み立てていくものです。
では、どこに積み立てるのでしょうか?
(2)どこに積み立てる?
任意整理の場合、プール金は基本的には依頼した弁護士事務所(弁護士)の口座に積み立てていきます。
個人再生の場合も弁護士事務所(弁護士)の口座に積み立てることが多いですが、裁判所の運用によっては再生委員の口座に積み立てるケースもあります。
(3)プール金を積みて立てるタイミング
プール金はいつから積み立てるのでしょうか。
これは弁護士に任意整理や個人再生の依頼をするタイミングで積み立て始めるケースが多いです。
弁護士に依頼する際、
- プール金の金額
- 積み立て日
などについて定められているケースもあるでしょう。
プール金の積み立て方法や積み立ての頻度は弁護士によって対応が異なりますので、弁護士に相談する際にプール金の積み立てについても具体的に確認してみてください。
(4)履行テストとの違い
プール金と似たような意味合いで出てくる言葉に「履行テスト」というものがあります。
履行テストとは、個人再生の手続において、裁判所が定める再生計画どおりの返済ができるのかを事前にテストするものです。
たとえば、東京地方裁判所の場合、6か月間履行テストが行われます。この6か月間、再生計画で定めた金額を毎月支払えるのかどうかをチェックされます。
この6か月の履行テストで支払が滞ってしまうと、個人再生手続がうまく進まないことが明白ですので、個人再生手続は基本的に認められないこととなります。
プール金にしても履行テストにしても、任意整理や個人再生の手続において本来支払うべき債務の額を大幅に減額してもらうわけですから、積み立てをしっかり進めていくという意識が大切です。
2、プール金の目的
プール金を積み立てる目的がわかっていないと、毎月一定の金額を積み立てていくことができず途中で挫折してしまいがちです。ここではプール金を積み立てる目的やそのメリットを具体的に確認していきましょう。
(1)プール金の目的は?
プール金を積み立てる目的は、債権者(お金を貸した人)や裁判所に支払い能力を示すことです。
任意整理の手続を進めているということは、お金を借りたにもかかわらずそれを返済できない状況にあるわけですから、債権者に任意整理を認めてもらうには定期的な返済能力があることを示さなければなりません。
任意整理手続では、将来分の利息などをなくすもしくは大幅に減額して、残りの借金を数年程度の時間をかけて分割して支払っていきます。そうすると、債権者側からしてみれば返済される金額が減るわけですから、しっかり返済能力があることを示してもらわないと債権者に任意整理について納得してもらうことが難しくなります。
(2)プール金を積み立てるメリット
プール金を積み立てておけば、支払い能力があることを債権者に示すことができ、債権者からの信用を得やすくなります。債権者の信用を得られると、任意整理の話もまとまりやすくなります。
貯金やプール金が1円もない人と、プール金を弁護士事務所の口座に毎月コツコツ積み立てている人を比較すれば、後者の方が債権者からの信用を得られやすいことは明らかでしょう。
配信: LEGAL MALL